母国アルゼンチンへと凱旋したベロン
私は彼のキャリアについてよりよく理解し、彼の献身性に見合う幸福を見出すことができたため、ベロンを追いかけられてうれしく思う。
ユナイテッドは彼の最終目的地ではなかった。もうひとつあったのだ。始まりと終わりの地。もしも私たちが神話の登場人物に例えられるとすれば、ベロンはオデュッセウスだ。彼の故郷であるアルゼンチンから遠く離れた地で、偉大な戦いを繰り広げ、何年もあとに旅に疲れて栄光とともに母国に帰還する。
彼の物語は特に詩的だ。彼の父親は1968年にエストゥディアンテスをコパ・リベルタドーレス優勝へと導き、ベロンも2009年に同じことを達成して大会最優秀選手に選ばれた。このトロフィーがどれほどの意味を持つのか、彼は決勝戦の前に、優勝するためならこれまで獲得してきたすべてのメダルを差し出すと述べていた。彼のキャリアにおける最高の瞬間だった。
ベロンは23年間で10のクラブを渡り歩いた。そして今もなお、42歳にしてすべてが始まった地でプレーしている。彼は最も才能ある選手会長であり、最も才能あるジャーニーマンでもある。
サッカー選手が、このようなハッピーエンディングを手にすることはごく稀だ。だからこそ次回チャンスがあれば、彼の故郷のラ・プラタの方角に向かって、ベルリンで最高の「クラブマテ」で乾杯しよう。
著者:ムサ・オクウォンガ
ドイツはベルリンに在住のサッカー・ジャーナリストであり、ライター・『ESPN』など、複数メディアに寄稿している。
Twitter:@Okwonga
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