著者:ムサ・オクウォンガ(翻訳者:土屋一平)
クラブを離れても応援したくなる選手がいる。
いくつかの場合、それは煌めくようなパフォーマンスを長年にわたって見せたから。その他の場合、それは才能こそないが持てるものを最大限発揮しようとしていたから。
そしてもうひとつの場合、うまく機能しなかったから。フアン・セバスティアン・ベロンについて、私はいつもそう感じる。
ベロンがマンチェスター・ユナイテッドに加入したとき、彼は異星人のような存在だった。クラブにはベロンのようなフットボーラーがいたことがなかったのだ。フットボール界の偉大な選手のひとりである、ポール・スコールズがいたことは確かだが、ベロンはまた違った感覚の持ち主だった。
彼は矛盾する2つの要素を備えていた。強靭さと脆さだ。サンプドリア、パルマ、ラツィオでの彼のプレーを観れば、私には理解できないベロン本人のルールに基づいて、プレーしていることが分かる。彼は2シーズン以上それぞれのクラブでプレーしなかったが、それでもなお創造性の中心として、クラブの基準点になっていた。
彼は何だったのか?ひとつ目の観点から見ると、彼はセントラルミッドフィールダーだ。歩き回り、歯を食いしばり、ソックスを低く下したスタイルの。2つ目の観点から見ると、彼はとてつもなく捕まえづらい「10番」の選手だ。彼がパルマで組んだエルナン・クレスポとのコンビは、すぐに驚異的な破壊力を示した。そして1年後に2人はラツィオに引き抜かれ、クラブをスクデットへと導いたのだ。
コメントランキング