Jリーグ サンフレッチェ広島

2013年の再現なるか。鉄壁守備を誇るサンフレッチェ広島

著者:チアゴ・ボンテンポ(翻訳者:土屋一平)

 ボール保持率42%。90分間でシュート2本。そのうち枠内に飛んだのはたった1本だけ。少なく見える数字だが、柏レイソルを下したサンフレッチェ広島にとっては十分だった。第6節が終了した時点で、4試合で1-0の勝利を収めている広島は、勝ち点16を獲得して首位を独走中だ。2位につけるのは神奈川ダービーで引き分けた川崎フロンターレと、浦和レッズに負けたベガルタ仙台で、ともに勝ち点11を獲得している。

 接戦だった。サンフレッチェが前半に挙げた得点には2人のサイドバックが関与していた。右サイドの和田拓也がクロスをあげ、左サイドの佐々木翔がゴールネットを揺らした。後半、林卓人が大活躍する。ビッグセーブを連発し、クリスティアーノのPKもストップした。クリスティアーノのヘディングがクロスバーに直撃した場面では、運も味方につけた。林はこれで、今シーズンすでにPKを2度止めたことになる。1度目は1-0で鹿島アントラーズに勝利した試合で、相手は金崎夢生だった。

 第6節終了時点で1失点のみ、5試合のクリーンシートを達成したサンフレッチェは、Jリーグ創設以来最高のディフェンス記録のひとつを樹立した。この記録をしのぐ数字は1996年に、横浜フリューゲルスが達成した6試合無失点というものだけだ。彼らが初失点を喫したのは第7節だったのだが、最終的には30試合で44失点を許し、そのシーズンの失点数は上から7番目に過ぎなかった。Jリーグ歴代最高のディフェンスは、ペリクレス・シャムスカ氏が率いた大分トリニータだ。彼らは2008年に34試合で24失点という記録を樹立した。次点は、手倉森誠氏が率いた2011年のベガルタ仙台の、34試合中25失点というものだ。

 過去の成績を見ると、守備の堅いチームが攻撃力の高いチームに勝っていることが分かる。これまでの25シーズンのうち、9シーズンで最少失点のチームが優勝しており、最多得点チームが優勝したのは約半分の5回のみだ。

・最少失点のチームが優勝した年:1997年(ジュビロ磐田)、2000年(鹿島アントラーズ)、2004年(横浜F・マリノス)、2006年(浦和レッズ)、2009年(鹿島アントラーズ)、2013年(サンフレッチェ広島)

・最多得点のチームが優勝した年:2002年(ジュビロ磐田)、2005年(ガンバ大阪)

・最少失点と最多得点両方を記録したチームが優勝した年:1993年(ヴェルディ川崎)、1994年(ヴェルディ川崎)、2015年(サンフレッチェ広島)

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