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ドリブル、クロスも試合最多。多彩な攻撃で神戸を粉砕した伊東純也をスタッツで分析

神戸戦後半の伊東のアクション分布図。〇が成功、×が失敗を表す 写真提供:Getty Images

 2点目のゴールを決めたのも、左サイドにポジションを移していた時間だった。ボールが逆サイドにある際、伊東はファーサイドで最終局面に関与するためのポジショニングを常に意識しているように見える。例えば47分の左サイドでのショートコーナーの際には、ゴール前の選手が相手と駆け引きを行う間、伊東はファーサイドで全く動かず相手の視界から消えていた。そしてクロスが入る最後のタイミングで突如飛び出し、フリーでゴール前に折り返しのボールを入れようとしている(結果的には危険を察知した田中順也にブロックされた)。

 85分の2点目のゴールも「最初はクロスに入ろうと思った」と言うが、右サイドの小池が抜け出してクロスを上げる瞬間には、伊東はまだ逆サイドからゴール前に詰めてはいない。しかし一歩遅れてペナルティエリアに侵入することで、山崎のシュートがゴールキーパーが弾かれた時にはまるでボールに吸い寄せられるかのように、絶好の位置でフィニッシュに成功している。

 下平隆宏監督が試合後に「1点目も素晴らしい得点だったし、2点目もしっかり詰めて大事な勝利を導くようなゴールをあげてくれたので、彼の成長もすごくチームとしては有意義な1勝だったと思う」と語った通り、多彩な引き出しを見せて柏の攻撃を牽引した伊東純也。昨年はE-1選手権で日本代表にも初招集されハリルホジッチ監督もその才能を認めているだけに、この先の過密日程の中で結果を出し続ければ、逆転でのW杯メンバー入りも不可能ではないだろう。

著者:マリオ・カワタ

ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC

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