尊敬を集めるスペインのラジオプレゼンターのホセ・ラモン・デ・ラ・モレーナが、「壊れた風向計」のようにファウルを判定すると語ったとしても、マテウ・ラオスのリーダーシップは以前のままだ。彼が審判をするために生まれたことに、疑問の余地はない。彼はその運命にあるのだ。例えば2016年の、デポルティーボ・ラ・コルーニャの試合から帰宅している途中、フライトにかなりの遅れが生じていた。マテウ・ラオスは怒れる利用客を代表して、彼らの懸念を航空会社へ伝えた。そしてすべての人が適切な補償を受けられるように、苦情申込書を整理したのだ。彼は常に注目を集めようとしているのではなく、時には注目自体が彼の周りに集まるのかもしれない。
マテウ・ラオスが他の審判に比べて、朝のヘッドラインに載ることが多いのは、彼が多くのビッグゲームを担当するからかもしれない。スペインの審判は自分の出身州のクラブの試合を、担当することができない決まりになっている。それはつまり、バルセロナ、レアル・マドリード、アトレティコ・マドリードの上位対決や、バレンシア州以外のダービーを彼が担当できることを意味する。
彼は2011年から国際審判も務めており、2018年のFIFAワールドカップにも、スペインの代表として参加する予定だ。しかし、スペイン中の注目が別のところに向くからといって、マテウ・ラオスが批判の対象にならないとは、思わない方がいい。彼が国際試合を担当するときはいつでも、ギリシャからドイツ、ロシアからスコットランドまで、サッカーファンは彼らが観ていることに疑問を抱くだろう。
彼は最近、ワールドカップ予選イタリア対スウェーデンの2ndレグで笛を吹き、そのパフォーマンスでTwitterを炎上させた。彼はプレーが止まるたびにドラマを生み、それと同時に、2つのペナルティエリアで起きたことに目もくれず、PKを与えるのを拒否した。「昨夜のイタリア対スウェーデンの試合は、審判がどれだけ粗っぽかったかが目立った」とひとりのTwitterユーザーがつぶやいた。また他方では「イタリア対スウェーデンの審判は、あまりにも目立ちたがりすぎる」とつぶやいた人物もいた。そして違うユーザーは、彼の徹底的で鮮やかな手のジェスチャーに注目し、スペインのマイク・ディーンと呼んでいた。
最終的に、おそらく我々はマテウ・ラオスと、彼がスペインサッカー界に植え付けた奇抜さに感謝するべきだろう。何人かの人は彼を風変りだと呼び、また他の何人かの人は彼を迷惑に感じている。しかしそれは、リーガ・エスパニョーラにかかわるすべての人が、彼に対して意見を持っていることを意味する。スペイン審判界のマーマイトだと言えよう。彼はアントニオ・ミゲル・マテウ・ラオスだ。
著者:Euan McTear
グラスゴー出身のサッカージャーナリストで作家。スコットランド、イングランド、スペインに焦点を当てて活動。『マルカ』『ガーディアン』『ユーロスポーツ』に寄稿。『Eibar The Brave』の著者。
Twitter:@emctear
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