プレミアリーグ マンチェスター・ユナイテッド

スター選手獲得を最優先する現代サッカーが生んだモウリーニョとポグバの確執

ポール・ポグバ 写真提供:Getty Images

 これは意外な事実などではないが、ユナイテッドがこうした心配を無視したことは興味深い。ポグバにはサッカー選手として多くの長所があり、その多くは望ましいものだが、堅実な移籍には能力以外の要素も考慮される必要がある。しかし彼の場合には、セレブリティとしてのステータスが大きく影響したように思える。

 これはアレクシス・サンチェスの移籍にも見られたメンタリティだ。サンチェスはもちろん偉大な選手だが、彼をオールド・トラッフォードに迎えたことは他の選手、もしかしたらチーム全体のパフォーマンスを犠牲にするかもしれない。このチリ人選手を起用するためにアンソニー・マーシャルは最も得意なポジションから外され、マーカス・ラッシュフォードとジェシー・リンガードは更に出番が減る危機に立たされている。サンチェスはより優れた選手かもしれないが、もう29歳だ。最高レベルを保てるのが長くて18ヶ月だとすれば、騒ぎすぎではないだろうか。

 しかし同時にそれは「マストハブ」となった選手のパワーを象徴している。そこで重要になるのはチームにフィットする選手ではなく、輝きのある選手だ。

 この点から考えれば、モウリーニョとポグバは無意識のうちに現代サッカーの現実によって戦いを強いられていると言えるのではないだろうか。もしかしたらそれはスター選手の価値がテレビの視聴率によって測られ、曖昧な理論によってキャリアが上昇、下降する未来の始まりなのかもしれない。

著者:Seb Stafford-Bloor 

『Tifo Football』のコンテンツ・エディター。英誌『フォー・フォー・トゥー』にも寄稿。

Twitter: @SebSB

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