しかし、毎週末話題となるのはPSG、マンチェスター・シティ、バルセロナといった攻撃的ゲーム。彼らが毎試合賞賛され、新しいGIFやハイライト動画がトレンドに登っている。ユベントスはあまり話題に上がることはない。”守備のチーム”というレッテルを貼られていることが要因なのだろう。
印象的な攻撃を見せるチームのほとんどは、特定のシステムやスタイルに縛られている。だが、アッレグリのユベントスとマンチェスター・シティ、ナポリが採用する4-3-3のシステムは柔軟な変化が見られる。3チームの強さは適応能力にあり、試合中の状況に合わせて適切に対応することができる。だが、それは「明確に定義された(わかりやすい)戦術的アイデンティティ」ではないということだ。
この実用性が高い(素人からはわかりにくい)戦術はきっとサッカーの”純粋主義者”(勝利至上主義を嫌う者)にとってみれば、我慢できないものなのだろう。
それに加え、ユベントスは間違いなく「勝利のため」にプレーしている。例えば、先日2-0の勝利を収めたフィオレンティーナ戦。アウェイで確実に勝利するため試合途中でフォーメーションを変更し、SBステファン・リヒトシュタイナーに代えてCBアンドレア・バルツァッリを投入した。決して”綺麗”な方法ではなかったが、勝つために最も良い手段だったと言えるだろう。
だが、勝利のためにプレーしていたとしても、「トリノの巨人たち」は定期的に素晴らしいプレーを見せている。皮肉なことに”守備の象徴”CBキエッリーニは多くの巧みなプレーを見せている。世界屈指のCBは足元にも優れ、俊敏さを活かして自ら持ち上がることを得意とする。これはセリエAで最も壮大といえる光景だろう。
無論、キエッリーニは持ち上がりボールを奪われたケースを想定していないわけではない。ドリブルする目的はゾーンを回復するため。ユベントスはしばしばボールを低い位置でブロックするため、危険なゾーンを回避する必要がある。これはチームにとって不可欠なプレーだ。
MFピアニッチの右足も大きな貢献を見せている。ボスニア代表のプレーメイカーはチーム合流から時間が経つにつれ、MFアンドレア・ピルロと同じ”出発点”の役割を担うようになっていった。髭を蓄えた両者は似たような役割をこなし、スプリントよりも微妙な動きの変化、巧みなポジショニングで相手をいなす。恵まれた知性でピッチ上のすべてのチームメイトへのパス配給を可能にしている。
しかし、キエッリーニとピアニッチがボールを前進させるためには、彼らにボールを託し、受け取るプレイヤーが必要だ。これを4-3-3のインサイドハーフMFサミ・ケディラとMFブレーズ・マテュイディが遂行している。特にケディラの試合での貢献度は過小評価されているだろう。彼は守備面で危険なエリアをカバーするだけでなく、受け手として走力を活かしている。ケディラはユベントス加入から4.25試合あたり1点を決めており、間違いなくこの数字は称賛に値するものだろう。
FWのゴンサロ・イグアインは、一時期の”ぽっちゃり”状態と比べ物にならないプレーを見せている。彼の主な役割はゴールを決めることだが、敵陣深くでのリンクマンとしての役割も見逃せない。
そして、イグアインの同胞パウロ・ディバラは最もすばやく信頼でき、相手にとって脅威となる存在だ。 24歳の彼は左足のテクニックが抜群。スムーズなコントロールと創造性は天才FWリオネル・メッシと比較されている。(今シーズンは全29試合中17試合に出場)
最も重要なのはユベントスが単なる”個”の集まりではなく、チームとして機能していることだ。同じ攻撃パターンが試合で現れることがそれを象徴しているだろう。SBが攻め上がれば、中央のMFが内側のゾーンへ斜めにポジションを下げる。ケディラはディバラがボールを受け取ったとき、FWを追い越す動きを見せる。
ユベントスは優れた守備陣を持つが、攻撃的な試合も同様に賞賛に値する。彼らの無駄を排除した動きと共時性、そしてゾーン通過のメカニズムと崩しのバリエーション…。彼らは過小評価されている。ユベントスはもっと”美的評価”も受けるべきだろう。
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