ラ・リーガ バルセロナ

明暗分かれたスペイン2強。12年ぶり前半戦4位のレアル、下馬評を覆した無敗首位バルサ

ジダン監督とバルベルデ監督 写真提供:Getty Images

指揮官の評価

 両チームの成績が対照的であれば、もちろん指揮官の評価もくっきりと分かれている。

 バルセロナのエルネスト・バルベルデ監督は高い評価を得ているといって差し支えないだろう。パウリーニョをうまく戦術に組み込み、ネイマールが抜けた穴を確実に補っている。前任者のルイス•エンリケの4-4-2を発展させ、SBジョルディ・アルバ、SBセルジ・ロベルトのキャリアハイともいえるパフォーマンスを引き出した。攻守にバランスのとれた戦いぶりはバルベルデの大きな功績といえるだろう。

 ただ、「内容はさほど素晴らしくない」との評価を受けていることも付け加えるべきだろう。バルセロナは「ただ勝つ」ことのみならず、「美しく勝つ」ことが求められるクラブ。現在は国内リーグ、CLともに結果が申し分ないため、批判少ないが、不調になれば一気に周囲からのプレッシャーは激しいものとなるはずだ。ただ、現在は勝利を重ねているだけに、気にするべき部分ではないかもしれない。

 一方、レアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督に対する風向きは強くなるばかり。開幕当初は4-3-1-2を軸にスペクタクルなサッカーを展開するも、シュートが決まらない。安定を取り戻すため、守備の再整備を行ったところ、逆に攻撃へさらなる不備をきたしてしまった。

 (以前から指摘されていたことだが)ジダン監督の戦術を構築する能力が足りていないとの論評も数多く見受けられ、昨季より評価を落とした。だが、「(不調に陥った)選手の責任」「夏の移籍市場で獲得した選手が悉く外れた」と擁護論も根強い。12年ぶりの大失態を演じたが、先日クラブと2022年までの契約延長に合意。解任を望む声は少ないのが現状だろう。

今後の展望

バルセロナが最もリーグ優勝に近い存在であることは明白だ。よほどの不振に陥らない限り、無敗を維持したチームに死角はないだろう。さらに、冬の移籍市場でリバプールから念願のフィリペ・コウチーニョ獲得が決定。どのポジションで起用するのか、期待に胸を膨らませてシーズン後半戦を迎える。

一方、レアル・マドリードは冬の移籍市場は静観を保つ見込みとなっている。ジダン監督は「現有戦力を信頼している」ことを繰り返し述べており、クラブに対して補強を望んでいる様子を見せていない。リーガの優勝が現実的に厳しくなっただけに、今後は欧州CLに全力を注ぎ込むことができる。選手たちが本来の実力を発揮できれば、史上初のCL3連覇も見えてくるだろう。

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