新潟スワンのラストソング 管理ミスと対応遅れが招いた初の降格
著者:チアゴ・ボンテンポ
1985年生まれのブラジル人ジャーナリスト。サンパウロ在住。幼少期よりスポーツとりわけサッカーを愛する。大学時代にジャーナリズムを専攻し2011年よりブラジル『Globo Esporte』で日本サッカーを担当している。ブラジルのボタフォゴ、アーセナル、そして日本代表の熱烈なサポーターである。将来の夢は日本語を流暢に扱うこと、富士山登頂、Jリーグスタジアムを巡ること。
Twitter: @GunnerTNB
2010年に日本のサッカーを追い始めた時、アルビレックス新潟は私にとって注目のチームだった。同クラブには発揮しきれていない潜在能力を感じていたからだ。ワールドカップ会場ともなったデンカビッグスワンスタジアムはリーグでも屈指の平均観客動員数で、当時はいくつもの期待できる結果を導いていた。しかしそれから数年、新潟にほとんど進歩はみられなかった。2013シーズンに後半連勝の結果7位となった素晴らしい戦績を除き、新潟は次第に後退していった。同時にビッグスワンスタジアムの動員数も年々減少していった。昨シーズン終了後、クラブが進む方向に不満を持ち、多くのサポーターが強く抗議したことも驚きではなかった。
今年さらに悪化することになるとは、サポーター達も予想していなかっただろう。プレシーズンでの新契約を経て、新潟にとって2017年は生き残り以外に目標を立てる余裕がないことが明らかになった。つまり、さらに1年の前途が暗たんとなった。チームの問題は、外国人選手に依存しすぎていたことだ。守備的ミッドフィルダーのレオ・シルバ(鹿島)と得点者のラファエル・シルバ(浦和)という中心柱を失うと、その溝を埋める選手を見つけることができなかった。
MFジャン・パトリックはレオの後を自然に受け継ぐとされたが、なかなか調子をつかめなかった。彼はJリーグカップ2試合のみの出場で、夏にクラブを去った。MFチアゴ・ガリャルドは、あらゆる攻撃ポジションで主にプレイメーカーとして活躍し、素晴らしいスキルを披露することもあった。しかし彼の守備効率には疑問の余地があった。チアゴは8月に規律違反で罰せられ、以降は試合に取り上げられていない。FWホニは、比較的良く適応したブラジル人選手だが、ストライカーというよりはウィンガーである。総じてミッドフィールドの指揮官はおらず、ボールをネットに持ち込む者もなかった。
経験が浅くJ1も初めての三浦文丈監督が指揮をとって、チームは開幕戦から順位表の下位に沈み、第4節から降格圏にはまり込む。三浦監督は開幕10試合に1勝2分7敗の記録で、今シーズン最初に辞任した監督となった。後任として、元日本代表のストライカーである呂比須ワグナー監督が、ブラジルのセリエBパラナ・クルーべからやってくる。チームの軌道を戻すことを期待された。呂比須監督のデビュー戦は、北海道コンサドーレ札幌を相手取った1-0の厳しい戦いにおける勝利で良いスタートとなる。しかしその後、16試合連続の勝ちなしが続いた。
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