セリエA インテル

長友佑都、ついにインテル“8年目”。加入から現在までの状況変遷をイタリアTV局コメンテーターが本音で解説

ディフェンス面での致命的な欠点

 長友の柔軟性はみんなをびっくりさせた。マンチーニ監督とイタリア人指揮官のルチアーノ・スパレッティ監督も同様で、彼は最近長友のスキルを褒めていた。なぜなら長友は左右どちらのポジションでもプレーすることができ、スピードも速く、クロスやパスを左右どちらの足でも高い精度で出せるのだ。

 しかし、ディフェンス的な欠点が明らかにみられる。ポジショニングのミスをすることが多いのだ。例を挙げると、相手のスルーパスの時にポジションが広がり、さらに相手の攻撃時に慌てて無駄なタックルをすることも多い。この時にドリブルで抜かれる恐れがあり、あるいは警告を受けるファウルをしてしまうこともある。手本となるのは2015/2016のシーズンのナポリ戦の退場だ。愚かではなかったが、明らかに目立った2つのファウルで9分間にイエローカードを2枚受けて退場になってしまった。しかも、ファウルを犯したのはあまり危険なエリアではなかった。

 インテルでの6年間半で、サポーターは長友にどんな期待をすればよいのかよく分かっている。それは練習の時にも試合の時も真面目でプロフェッショナル的な態度だ。一方で、彼は取り返しのつかない失敗も犯す。長友はインテルの大きな欠点の一つだと批判するサポーターも多い。そのため、今年は新しい2人のサイドバックが加入した。バレンシアからポルトガル代表DFジョアン・カンセロと、ニースからブラジル人DFダルベルト・エンリケだ。しかし、ダルベルトはまだセリエAのサッカーに馴染めずカンセロも怪我をした。それでも、SPAL戦では長友はダルベルトにポジションに奪われプレーすることができなかった。

 一つ強調したいのは、長友が批判されているのはプロフェッショナル的な態度が不足しているためではない。逆に誰もが思っているのは、長友が真面目な選手の手本であることだ。さらに、明るい性格と彼の笑顔のおかげで、インテルのサポーターと良好な関係を作ることができた。

 仮に今年の夏、長友が売られることになっても反対する人は誰もいなかったかもしれないが、長友に興味があるクラブチームがなかった。そんな訳で7年が経っても、安定しているがあまり嬉しくない長友もインテルもまだ一緒にいる。長友の高い給料(約130万ユーロ)は金の鳥かごになってしまったのだ。給料は多くもらっているが、もうインテルに残る意味がないといえるだろう。なぜならチームにとってはスターティングメンバ―のクオリティを維持できない選手を残す意味もないからで、長友にとっても多くをプレーさせてくれないチームに残っても、自分よりもレベルが高い選手と同居するのは困難だからだ。

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