アジア 代表チーム

川島永嗣を超えられない。ハリル・ジャパン起用法で露呈したJリーグの“GK育成問題”

 川島は批判に対しても沈黙を貫き、与えられたチャンスを活かし、UAE戦とタイ戦で見せた好パフォーマンスによって、再び代表正GKの座を取り戻したのだ。一方でライバルの西川は所属チームの浦和が危機的な状況に陥っており、彼自身も先発から外されるだけでなく、ベンチ外になることまであった。「正確なキック」に定評のある彼だが、キックミスをする場面も見られていた。素晴らしいセーブを見せたかと思えば、簡単に失点を許す場面も見られ、代表チームの正GKとしての信頼に欠けるプレーが続いていた。そこで我々がたどり着いた疑問は「川島のライバルとなり得るGKがJリーグに存在するのか」ということだ。

 そう、Jリーグにも彼のライバルとなり得る選手は存在しているのだ。その彼の名は中村航輔。個人的に、私は彼を昨シーズンからのJリーグのベストGKだと評価している。柏レイソル所属の彼は今後のワールドカップで代表GKのポジションを担っていく可能性を大いに秘めており、川島のパフォーマンス次第では来年のロシア大会でもチャンスが回ってくるかもしれない。22歳と若い選手ではあり、まだ代表GKを担うだけのプレッシャーに耐えることができないかもしれないといった心配もある。経験のなさが命取りとなる可能性はあるかもしれない。今年6月に彼は代表に初招集されたが、まだ代表デビューは飾っていない。

 中村以外に、代表GKの座を争うことのできる選手がJリーグに存在しないということは大きな問題である。彼以外にJリーグで活躍している選手といえば、クシシュトフ・カミンスキー(ジュビロ磐田)、キム・スンギュ(ヴィッセル神戸)、キム・ジンヒョン(セレッソ大阪)、チョン・ソンリョン(川崎フロンターレ)といった外国人選手ばかりだ。

 継続的に代表招集されている東口順昭(ガンバ大阪)こそ、より多くのチャンスを与えられるべき選手かもしれないが、2017年の彼のパフォーマンスはまずまずといったもので、代表のユニフォームを着るには値しないだろう。林彰洋(FC東京)や権田修一(サガン鳥栖)もヨーロッパでの経験があり、近年、代表でのプレー経験もある選手たちではあるが、正GKとなることはできなかった。

 Jリーグは同じくアジアサッカー連盟加盟国の韓国やオーストラリアといったライバルたちを見習い、GK育成を改善しなければならない。GKというポジションの重要性について改めて考え、基礎を見直さなければならないだろう。世界との差を縮めるためにも、日本は中村のような才能を持ち、将来ヨーロッパで川島以上の活躍をする選手たちをどんどん輩出していかなければならない。

ページ 2 / 2