ラ・リーガ バルセロナ

コウチーニョのバルセロナ移籍が実現すれば、プレミアが“二流選手にとってのみ魅力的なリーグ”であることを意味することになる【OPINION】

 リバプールがコウチーニョを売却できない理由は他にもある。まず、クロップ監督はこの移籍市場でこれといった成功を収めることができていない。サラーを除くと、彼が主に獲得候補に挙げた選手たちの獲得はほとんど失敗に終わっている。

 リバプールはライプツィヒ所属MFナビ・ケイタへの6,000万ポンド(約85億2,000万円)のオファーを断られた上に、サウサンプトン所属ビルヒル・ファン・ダイクの獲得も失敗している。クロップ監督が中盤を補強しなければならないことは明らかではあるが、先に挙げた2選手の獲得に失敗しているだけに開幕直前にコウチーニョを失う余裕などないのである。

 リバプールは今夏の移籍ウインドウでコウチーニョを移籍させないことを発表しており、これほど彼らがコウチーニョを特別扱いしていることは興味深い。彼らはクラブにあと1年残留するようにコウチーニョを説得したということだろう。こういった状況はまさに10年前、レアル・マドリード移籍を前にクリスティアーノ・ロナウドがサー・アレックス・ファーガソン監督と1年間の残留の約束をしたことと非常に似ている。コウチーニョは、彼の夢であるバルセロナ移籍を前にクロップ監督の力になろうと残留することでクラブと合意したに違いない。

 フットボールという観点のみならず、財政面、マーケティングの面でもビッグネーム獲得はバルセロナにとって必須だろう。2億2,200万ユーロ(約287億円)でのネイマール退団は災難だった。バルセロナは金銭的に困っていた訳ではなかったが、パリ・サンジェルマンがこの莫大な契約解除金を支払うと決めた以上、どうしようもなかった。

 バルセロナの悩みはネイマールの代役として実績のある有名選手を探しているという点である。ボルシア・ドルトムントのウスマン・デンベレへのオファーは既に断られ、アーセナル所属エクトル・ベジェリンとPSG所属マルコ・ベッラッティ獲得にも失敗している。これまで数々の選手獲得に成功してきたクラブであるバルセロナだが、このメインターゲットであった3選手の獲得に失敗している。

 右利きのコウチーニョは、リオネル・メッシとルイス・スアレスのそばでプレーしていたネイマールの代役として、すぐにフィットするかもしれない。バルセロナがコウチーニョ獲得を1シーズン見送る理由があるとするならば、彼のプレースタイルがネイマールと異なるという点だろう。コウチーニョのプレーはよりアンドレス・イニエスタに近く、より深い位置でプレーする選手である。

 だが、バルセロナはネイマールの代役を探す前に2年前に退団したシャビの代役を見つけるべきであろう。アタッカーのネイマールのポジションではなく、中盤のボランチの位置を務めることのできる選手を獲得するのが彼らの最優先事項だろう。もし彼らが今すぐコウチーニョを獲得できなくとも、次のシーズンで獲得すればよいだけでの話である。

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