Jリーグ 名古屋グランパス

J2は世界で最も“予想不可能”なリーグ。16チームが昇格を争う戦国時代に【J2リーグ前半戦レビュー】

 今シーズンJ2では、ここまでに7チームがリードしてきた。

 まずは現在1位の湘南ベルマーレと2位のアビスパ福岡が自動昇格に向けた礎を築いている。偶然というわけではないが、どちらもJ1からの降格後も監督保持を決めたチームだ。今彼らの長期計画は、それぞれチョウ・キジェ監督、井原正巳監督の元に実を結んでいる。

 湘南はここまで最高の守備で、より慎重なアプローチを取ってきた。常に安定したDFアンドレ・バイーアがバックラインをまとめ、GK秋元陽太が奥に控えるおかげだ。今年見事に進化した菊地俊介、石川俊輝、秋野央樹といった素晴らしいMFも備えている。キャプテンであり地元のスターの髙山薫が怪我で残りのシーズン欠場のため、湘南の弱点となるのはFWジネイが唯一の脅威になる攻撃体制だ。大宮アルディージャ(J1)から移籍したFWドラガン・ムルジャが2年前の大宮J2優勝に貢献したコンディションを取り戻すことができれば、この問題は解決するだろう。

 一方の福岡は、よりバランスの取れたチームで特にセットプレーに強い。セットプレーで合計34得点中19得点を決めており、失点は合計19点中わずか6点である。彼らのメインの攻撃武器は高身長で強靭なFWウェリントン・ルイス・デ・ソウザだ。さらに理事会はDF駒野友一、DF岩下敬輔、MF山瀬功治、MFジウシーニョらを呼び込むことで核心をついてきた。

 V・ファーレン長崎もまた、セットプレーマスターである。合計30得点中20得点をフリーキック、コーナーキック、あるいはペナルティーキックから決めている。この九州チームは3月に倒産寸前、翌月社員への給料未払いの見込みとまでなった。しかしジャパネットホールディングスの支援で復活すると、すでに3位に浮上した。

 4位の徳島ヴォルティスは、2017年のポジティブな驚きの1つだ。スペイン人のリカルド・ロドリゲス・スアレス監督は攻撃的で魅力的なプレースタイルを実現した。現在得点ランキング2位のFW渡大生、FW山崎凌吾、さらにはJ1鹿島アントラーズで若手スターだったもののポテンシャルを発揮できなかったMF杉本太郎からもベストを引き出した。

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