Jリーグ サンフレッチェ広島

サイクルの終わりを迎える浦和と広島。崖っぷち同士の対決の行方は

崖っぷちの直接対決を制するのは

 理事会の意向が森保監督を保持することなのであれば、広島サポーターにとって残されるは夏の移籍期間中に加わる可能性のある援軍に望みを絞ることだ。FWパトリックとDF丹羽大輝の獲得が発表された。どちらもガンバ大阪で軌道に乗っていたが、コンディションがかなり落ち込んでいた。しかし、信頼を落とした選手からベストを引き出すことこそが森保監督の特徴だ。同監督がその偉業を繰り返すことができるかどうかがみられるだろう。

 また言及に値することとして、パトリックが2014年中頃に吹田市(G大阪のホームタウン)に到着した時、G大阪は降格圏に位置していた。しかしその後同選手を躍進の原動力の1人として、三冠を勝ち取るための信じられないスタートを切ったのだ。広島はG大阪のように「宇佐美」を見つけることができるか。あるいは新しいピーター・ウタカ、新しいデャンフレス・ドウグラス・シャガス・マトス、新しい佐藤寿人。とにかくステップアップして差を作る選手が、少なくとも一層色濃くなるJ2へのリターンの悪夢を克服するだろう。

 一方、ベストアメニティスタジアムでの試合では浦和が鳥栖に2-1で敗れ、2017年の全リーグで苦戦した敗北数と同じシーズン6度目となった。浦和は最後7試合で最高勝点21のところ4点以上を獲得できなかった。ここまでで誰もが彼らがどのようにプレーするかを知っている。ボール占有率(61%)シュート数(10-8)枠内シュート数(6-5)パス成功数(595-296)パス成功率(86%-71%)などの数字を高めることも叶わなかった。

 浦和は全面的な攻撃戦術を展開する。譲歩するより得点を上げるプランだが、シーズン初期からのその効率は消えてきた。さらに守備陣が簡単なミスを続けている。たとえば同試合での鳥栖の2ゴール目は、DF森脇良太とDF遠藤航から鳥栖のMF福田晃斗へのギフトだった。福田は25歳の選手で、自身のキャリア史上初ゴールとなった。この守備の修正がペトロビッチ監督にとっての最優先事項であるだろう。

 皮肉なことに、浦和と広島は次節に埼玉で激突する。一方にとっては救済となり、一方にとってはさらに深刻な危機となる可能性のある試合だ。どちらの監督がウサギを帽子から取り出して違いを見せられるか。“クラシコ”には本命がないと言われてきたが、オリジナル10同士の対決となる浦和と広島の“日本クラシコ”は一方にとって、または両者にとってシーズンの大転換点になる可能性が高い。

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