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【CL決勝 徹底展望】レアル対ユーベは歴史と伝統の象徴。鍵を握るのは“重圧”への対処

ボールを好むレアル・マドリード

 今回のCL決勝の最も重要なファクターはオフ・ザ・ボールの動きとなるだろう。

 レアル・マドリードの選手は「ボール」が大好きだ。ボールを黙って眺めてみたり、相手チームがボールを保持している際にボールを追ってしまうことで、守るべきエリアにスペースができている。MFトニ・クロースは「4-4-2では(FWガレス・)ベイルよりもイスコとプレーするのが好きだね」と語った。たしかに、イスコはスペースをうまくカバーし、クロースとMFカゼミーロの守備負担を減らすことができる。普段はベイルが守ることはないエリアに侵入してくるMFサミ・ケディラと、サイドの広大なスペースから攻め込んでくるFWパウロ・ディバラを追いかけずにすむだろう。

 今季のレアル・マドリードは、リーガとCLでの失点パターンが3つに限られている。一つはコーナーキックからの失点だ。CL準々決勝のバイエルン・ミュンヘン戦でのアルトゥーロ・ビダルのゴール、準決勝アトレティコ・マドリード戦のサウール・ニゲスのゴールがこれに該当する。そして、MFとDFの間のスペースを狙われる時のパターン。マドリード・ダービーでのFWアントワーヌ・グリーズマンによるゴール。または、セビージャ戦でのFWステバン・ヨベティッチのゴールだ。最後のパターンは、パスミスから失点するものだ。

 相手チームがボールを持っている時間帯のレアル・マドリードは苦戦を強いられるが、ひとたびレアル・マドリードがボールを取り戻してカウンターを繰り出すと、とてつもないスピードで相手ゴールに襲いかかる。

 レアル・マドリードを語る上では、チームを指揮するMFルカ・モドリッチは欠かせない。彼は自らのビジョンと技術を生かすためにポジションを下げた。レアル・マドリードが「デシマ(10度目のCL優勝)」を達成したシーズンにはモドリッチはリーガとCLで9アシストを記録した。一方で今季は2アシストにとどまっている。

 しかしながら、モドリッチの最も優れた才能は、サイドバックのマルセロとダニエル・カルバハルのスイッチを入れることだ。カルバハルは2年前のユベントス戦ではFWカルロス・テベス相手にファウルを犯しPKを献上したが、現在は成長しCLでは4アシストを記録している。現在のレアル・マドリードにはカルバハルの代わりになれる選手はいない。ナチョは守備的すぎるだろう。ダニーロは様々な意味で「曖昧」だ。

 最後にレアル・マドリードの最強の二人であるクリスティアーノ・ロナウドとカリム・ベンゼマに言及しよう。両選手は今季CLで合計15ゴールを記録している。とりわけ10ゴールと5アシストのC・ロナウドはアッレグリ監督の一番の悩みだろう。ロナウドはユベントスの守護神GKジャンルイジ・ブッフォン相手に4試合で4ゴールを記録しているのだ。ブッフォンとC・ロナウドの勝負はビッグイヤーを懸けた勝負でありながら、バロンドールを決定づける勝負ともなるだろう。

 アッレグリ監督はDFアンドレア・バルツァッリを起用する3バックで試合に挑むだろう。両サイドにはダニエウ・アウベスとアレックス・サンドロを配置し、両選手はC・ロナウドを止める役割が与えられるはずだ。

 果たして、どちらのチームがビッグイヤーを掲げるのか。最強の盾を持ちバルセロナを潰し、モナコを消し去ったユベントスか。それともバイエルンとアトレティコの夢を終わらせたレアル・マドリードか…。

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