ラ・リーガ チャンピオンズリーグ

Dr.TRIBE【試合診断書】 CLグループステージ ローマ対レアル・マドリード

大会:チャンピオンズリーグ
カード:ローマvsレアル・マドリード
スコア:0-2
担当医:菊池大将(@yukkenokonoko
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):ダニエル・カルバハル

ジャスティン・クライファートを見事に抑えきり、マドリードのカウンターに繋がるディフェンスを大きくサポート。また、決定的なシーンで幾度となくシュートをブロックし、チームをピンチから救い続けた。試合終盤に見せた攻撃参加など、チームメイトを助けるプレーは光った。

ザ・ハード・ワーカー(THW):ティボー・クルトゥワ

ディフェンスライン裏へのボールや、クロス気味のパスを素晴らしい判断で処理。自身のスローイングから素早いカウンターをサポートしている。また、セービングに関しても全くミスがなく、前半には決定機を阻止している。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):フェデリコ・ファシオ

後半立ち上がりの致命的なミスに尽きる。あのミスからローマは完全にリズムを失った。また、後半はマドリードのカウンターに対するコスタス・マノラスとのマークの受け渡しも難しいプレーではあるが、不安定さを見せた。


ローマの攻撃vsマドリードの守備

次ページで後述する守備の形から、序盤はマドリードにリズムを与えず高い位置でボールを奪いチャンスを作ったローマ。マドリードもプレスの位置は高く設定していたが、ある程度パトリック・シックにボールが入ったことで、中央を閉める作業が必要になりサイドにスペースを与えてしまった。また、ローマは意図的にマドリードSBの裏のスペースをロングボールで狙っていた。

ローマとしてはチャンスを決め切りたかったが、ジェンギス・ウンデルの致命的なシュートミスなどで得点を奪えず。後半は不用意な形で許した失点から攻撃時の焦りが露見。最終ラインを高く設定していたが、攻撃に焦るあまり中盤以下がついてこれず、2ライン間にスペースを与える時間が多くなってしまった。

マドリードとしては、後半はしっかりとシックへのボールに対応しほとんど仕事をさせなかったことが大きい。これにより、マルセロが高めの位置を取りセルヒオ・ラモスがウンデルに対応することで、カウンターに繋げる守備を行えたことが後半の多くのチャンスに繋がった。カルバハルのジャスティン・クライファートへの落ち着いた対応と、気の利いたカバーリングもそれを大きく助けている。

ローマとしては、ケガ人が多くいることと、この試合で2名の負傷者が出たことにより、選択肢の限られた試合にはなってしまった。


マドリードの攻撃vsローマの守備

序盤からしっかりとつなぐマドリードに対して、ローマはマドリードのビルドアップ参加人数に応じてタイトに高い位置からディフェンス。多くのチャンスに繋げている。マドリードもベンゼマが低い位置まで顔を出し、何とかボールを引き出そうとしたが、ローマが中盤でスペースを許さず窮屈な展開が続いた。得意のサイドチェンジからローマの牙城を崩そうとする動きもあったが、最後のプレーの精彩を欠いていたことでゴールにはつながらず。ただ、トニ・クロースが最前線に顔を出す動きはローマのディフェンダーも捉え切れておらず、効果的だった。また、アレッサンドロ・フロレンツィ引き付けるマルセロの動きは、ベイルの裏のスペースへの走り出しを大きく助けている。

後半のマドリードはビルドアップに工夫を見せ両ウィングへのパスコースを確保。また、サイドバックに預けた際の前線のサポートを素早くし、ローマのプレス回避に成功した。不用意なミスから失点したローマは前半にできていたリスクを管理した攻撃が焦りからかおざなりになり、カウンターからのピンチが格段に増えた。マドリードがしっかりとシックをケアし、結果としてマルセロが高い位置を取ることでフロレンツィにカウンター時に難しい対応をさせたことも大きい。ベイルもマルセロのサポートから多少、息を吹き返すことができた。全体として、大きな体力の消耗をせずに勝利できたことは大きいだろう。


ローマ監督:エウゼビオ・ディ・フランチェスコ

プレッシングの形は試合前から用意していたものがある程度ハマっていた。選手の決定力に泣いた部分もあるだろう。ただ、試合内容としては自滅感も強く、自身の解任論に拍車をかけるものとなってしまった。多数の負傷者により、難しいかじ取りになっていることは事実だがこれ以上の敗北は許されないだろう。


マドリード監督:サンティアゴ・ソラーリ

前半はローマのプレッシングと最後のプレーの精度に苦しんだが、後半は見事に修正。グループステージの突破が決まっており、難しいモチベーションでの試合となったが、ローマの攻撃に対する守備の修正とその先にあるカウンターの精度の向上により余裕をもって戦うことに成功した。大きなリスクをかけてはいけない試合で選手の消耗を抑えながら、フェデリコ・バルベルデなど自身がBチームで指導した選手を起用できたことは素晴らしい。


主審:クレマン・トゥルパン

マドリードの恐らくPKが与えられたであろうハンドや、ベイルに対するオフサイドの見逃し(これは副審の過失も大きい)など、ロマニスタにとってはフラストレーションの溜まるジャッジが多かった。また、後半にとったファシオのハンドは映像を見る限り故意ではなかったがハンドを取っている。前半の故意に見えたバスケスのハンドを流したのであれば、そのプレーも流すべきだった。早い段階で試合を壊すジャッジがあったと言えるだろう。




名前:菊池大将
趣味:サッカー観戦、映画鑑賞、読書
好きなチーム:ACミラン
幼少期に父親の影響でミランが好きになりました。アイドルはシェフチェンコ。パッション、データ、経済、カルチャー、サッカーの持つ様々な表情を見るのが好きです。よろしくお願い致します!

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