Jリーグ FC東京

今季“サプライズ”をもたらしているJ1上位2クラブのキーマンは…?

著者:津田翔汰

 ロシア・ワールドカップを1カ月後に控え、折り返し地点に差し掛かる今季のJ1リーグだが、ここまで多くのファンや識者などの予想を大きく覆すタイトルレースとなっていることは周知の事実だ。上位陣の顔ぶれを見ると、昨季は名将森保一と袂(たもと)を分かち、思わぬ残留争いを強いられたサンフレッチェ広島が2位に10ポイント差をつけ、ここ数シーズンでは見られなかった“ひとり旅”を演じると、こちらも昨季は5月以降は下降線を辿る一方でシーズン終盤にはサポーターから経営陣に対する批判の声が挙がっていたFC東京が2位につける。FC東京は今季から就任した長谷川健太監督のもと、昨季の単なる“タレント集団”からの脱却を図る上で横一線のポジション争いによる競争意識の植えつけを行ったことが功を奏し、中盤を中心に“戦う集団”への変貌を遂げている。

 そして特筆すべきは、1996年のジャパンフットボールリーグ(JFL)参戦以降これまで“エレベータークラブ”としての印象が拭えなかったものの、昨季はクラブ創設2度目となるJ1残留を果たした北海道コンサドーレ札幌が、確固たる地力をつけ「オリジナル10」をはじめ今までは明らかに格上であった対戦相手から次々と勝ち点をもぎ取っていることだ。当初「ミシャ」ことミハイロ・ペトロヴィッチ監督の招聘(しょうへい)に対し、一部サポーターからは守備を重視したこれまでのプレーモデルの刷新を不安視する声が上がっていたものの、蓋を開けてみればこの数シーズンで培ってきた守備をベースにしつつ攻撃面で様々なアレンジを加え、チーム全体も瞬く間に順応。リーグ3位の得点力という形ですぐに数字として表れるとともに、J1・10戦無敗(第14節・FC東京戦前)を成し遂げるなど次々とクラブ記録を塗り替えている。

 この今季の“波乱”の立役者である上位3傑のうち、今節はFC東京と北海道コンサドーレ札幌が調布の味の素スタジアムで顔を合わせると、今季の好調ぶりが「紛れもない事実」であること示すかのように中盤センターの起点を巡る激しい攻防、そしてサイドを中心としたボールホルダーに対するプレッシングは90分絶え間なく展開される。結局スコアレスドローにより互いに1ポイントを分け合う結果に終わったものの、この上位対決に関心を示していた多くのファンにとって、少なくともその関心に応えるだけの試合内容が伴っていたに違いない。

 さて、弊サイトではJリーグや欧州主要リーグをはじめ毎節の注目試合をピックアップし、スタッフ独自の目線で各選手のパフォーマンスを評価する『TRIBE RATINGS(選手採点)』、そして審判も含め、試合全体の評価として『Dr.TRIBE(試合診断書)』を行っており、このJ1リーグ第14節・FC東京対北海道コンサドーレ札幌も対象試合とさせて頂いた。ここでは弊社スタッフの目線でこの一戦におけるマン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)に選出した2選手について紹介したい。
 

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