
2026シーズンのJ1リーグでは、7クラブで監督交代が行われ、新たな指揮官が誕生した。国内外での指導経験を持つ監督が多く、それぞれが新天地でのチーム構築に挑むことになるが、J1という競争環境においては、戦術の浸透力や適応力が成否を分ける重要な要素となる。
ここでは、後任未定のアビスパ福岡を除く6クラブで新たに就任した監督に焦点を当て、これまでの主な実績や指導歴を基に期待度を星5段階で評価する。評価基準は、過去の成績、チーム構築力、J1およびトップリーグでの経験値を総合的に考慮したものだ。

水戸ホーリーホック:樹森大介監督
期待度:★★☆☆☆
主な監督実績
- アルビレックス新潟(2025)
2025シーズンにクラブ史上初のJ1昇格を果たした水戸は、森直樹監督の勇退に伴い、後任として樹森大介氏を指名した。森前監督はフットボールダイレクター(FD)に就任し、事実上の“院政”とも言える体制が敷かれる。樹森氏は2015年から約9年間にわたり水戸のコーチを務め、「守備の森」「攻撃の樹森」と役割分担しながらチーム強化を支えてきた存在であり、ユース年代からクラブを熟知している点は最大の強みと言える。
一方で、トップチーム監督としての実績は2025年の新潟での1シーズンのみ。J1最速解任という結果に終わり、チームは最終的にJ2降格を喫した。水戸はJ1初年度であり、即時的な成果を求めるのは現実的ではない。森前監督との二人三脚体制が再構築されれば、組織力の維持と底上げは期待できるが、まずはJ1の強度を体感する”百年構想リーグ”期間になるだろう。期待度は慎重に【★★☆☆☆】とした。

清水エスパルス:吉田孝行監督
期待度:★★★★☆
主な監督実績
- ヴィッセル神戸(2017-2018、2019、2022-2025)
- V・ファーレン長崎(2021)
神戸を2度のリーグ優勝に導いた吉田孝行監督が、2026シーズンから清水の指揮を執る。3シーズンにわたりチームを率い、サポーターからの支持も厚かった秋葉忠宏前監督の後任という点で、就任時点から大きな重圧がかかる。神戸では実績ある選手を揃えながらも全員にハードワークを求め、基準に満たなければイニエスタであっても先発から外すなど、妥協のないマネジメントで攻撃的スタイルを確立した。
清水はJ1復帰初年度となった2025シーズンを14位で終え、チーム基盤の再構築が急務となっている。吉田新監督は神戸時代に自身を支えたスタッフを複数帯同させ、体制面は万全だ。神戸ほどの選手層はないが、戦術の浸透力と統率力には定評があり、短期的な結果よりも中長期的な成長を見据えるなら適任と言える。期待度は【★★★★☆】が妥当だろう。

名古屋グランパス:ミハイロ・ペトロヴィッチ監督
期待度:★★★★☆
主な監督実績
- NKプリモリェ(1998-1999、2001/スロベニア)
- NKドムジャレ(1999-2001/スロベニア)
- NKオリンピア・リュブリャナ(2001-2002/スロベニア)
- NKドラボグラート(2003/スロベニア)
- SKシュトゥルム・グラーツ(2003-2006/オーストリア)
- サンフレッチェ広島(2006-2011)
- 浦和レッズ(2012-2017)
- 北海道コンサドーレ札幌(2018-2024)
2006年の来日以降、足掛け19年にわたりJクラブを指揮してきたミハイロ・ペトロヴィッチ監督が名古屋の監督に就任する。J1通算594試合、247勝はいずれも外国人監督最多で、日本サッカーへの理解度は群を抜く。広島ではJ2降格と1年での復帰を経験し、浦和ではルヴァン杯制覇、札幌では攻撃的スタイルを確立するなど、クラブの立ち位置に応じたチーム作りを行ってきた。
近年の名古屋は戦力を揃えながらも中位に低迷しており、方向性の明確化が課題となっている。攻撃的サッカーを志向するペトロヴィッチ監督の就任は、停滞感を打破する起爆剤となり得る。実際、浦和(2012年)や札幌(2018年)では就任初年度から好成績を残しており、名古屋でも即時的な上積みが期待される。優勝争い復帰への期待を込め、評価は【★★★★☆】とした。
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