Jリーグ

Jリーグ昇格プレーオフ・入れ替え戦で生まれた劇的ドラマ4選

山岸範宏(モンテディオ山形所属時)写真:Getty Images

明治安田Jリーグにおける昇格プレーオフは、最も残酷でありながら最も胸を震わせる舞台でもある。リーグ戦では届かなかった昇格を、わずか90分、あるいは180分の中で掴み取るチャンスが与えられるのだ。順位がそのまま結果に結びつくとは限らず、シーズンを通じて積み上げてきた戦術や選手のコンディション、クラブの覚悟さえもが、ひとつのゴールで大きく揺らぐ。

ここでは、昇格プレーオフや入れ替え戦で生まれた“歴史的なドラマ”を4つ紹介する。クラブの未来を変えた場面、地域のサッカー文化を揺り動かした出来事。そこにこそ、昇格争いが人々の心を強く惹きつける理由がある。


大分トリニータ 写真:Getty Images

大分トリニータvsジェフユナイテッド千葉(2012年)

2012年、Jリーグに新たに導入されたJ1昇格プレーオフでは、6位の大分トリニータが上位クラブを立て続けに破り、決勝でジェフユナイテッド千葉を相手に劇的な勝利を掴み取った。

スコアレスドロー(0-0)のまま終盤戦へ突入したこの試合。千葉は順位で大分を上回っており、引き分けでもJ1へ昇格できる状況だった。一方の大分は、昇格のために勝利が絶対条件。86分、運命を変える瞬間が訪れる。大分のFW林丈統が相手DFの隙を突き、渾身の一撃をゴールへ叩き込むとスタジアムは歓喜に包まれ、ベンチもサポーターも沸き立った。

この勝利は、プレーオフ初年度にして「下位クラブにも希望がある」ことを証明する象徴的な出来事となった。深刻な財政難に苦しんでいた大分にとって、この昇格はクラブ再建への大きな一歩となり、サポーターにとっても苦しい時期を乗り越えたからこそ味わえた最高の勝利だった。


山岸範宏(モンテディオ山形所属時)写真:Getty Images

ジュビロ磐田vsモンテディオ山形(2014年)

プレーオフの歴史を語る上で欠かせない劇的瞬間が、2014年J1昇格プレーオフ準決勝で訪れた。モンテディオ山形がジュビロ磐田を相手に見せた大逆転劇は、Jリーグ屈指の“伝説”として今も語り継がれている。

試合は1-1のまま終盤戦へ。引き分けならリーグ戦上位の磐田が勝ち上がるため、山形は絶対に得点が必要だった。後半アディショナルタイムに突入し、残された時間はわずか。山形は最後のセットプレーにすべてを懸け、キャプテンGK山岸範宏が相手のゴール前まで上がるというリスクの高い決断を下した。

コーナーキックからの混戦の中、山岸が放ったヘディングは勢いよくゴールネットへ吸い込まれた。GKによる決勝ゴール、相手は名門磐田。昇格プレーオフという一発勝負の舞台で、大方の予想を覆す劇的な展開となった。

このゴールで勢いに乗った山形は決勝をも制し、悲願のJ1昇格を果たした。この劇的ゴールは、山岸自身にとってもキャリアを象徴する大きな瞬間であり、プレーオフは選手の人生すら変えてしまうドラマが生まれることを示す、まさに伝説のワンシーンだった。

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名前:Nao
趣味:サッカー観戦、お酒、子供が所属するサッカークラブの応援
2023年からライターとしての活動を始めました。プライベートでは3人の男児の父親、個人ブログ「FootballAnalysis」を運営しています。サッカーがある日常、特に試合がある日の街の風景やスタジアム周辺の雰囲気が大好きです。多くの人にサッカーの楽しさを知って頂ける記事を書いていきたいと思います。よろしくお願いします!

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