その他 ALL

サッカー界を揺るがした金銭スキャンダル6選

ユベントス(左)アトレティコ・マドリード(右)写真:Getty Images

サッカー界における金銭トラブルは、クラブ運営や国際大会の裏側で度々問題となり、ファンや関係者に衝撃を与えてきた。

ここでは、今年7月に話題となったヤスダグループのジャパンツアー2025(レアル・ソシエダ、スタッド・ランス)の不払い問題を含む、サッカー界の代表的な金銭スキャンダルを紹介する。


ヴィッセル神戸 サポーター 写真:Getty Images

ヤスダグループのジャパンツアー不払い問題(2025)

日本代表MF久保建英が所属するレアル・ソシエダや、日本代表FW中村敬斗、日本代表MF伊東純也、元日本代表DF関根大輝を擁するスタッド・ランスのジャパンツアーを企画したヤスダグループが、7月26日のバルセロナ対ヴィッセル神戸(ノエビアスタジアム神戸)で金銭トラブルを引き起こした。

韓国企業との共催だったこの試合で、ヤスダグループは前払金の不払いや偽造書類提出。一時試合中止の危機を招いたが、楽天の金銭的支援により試合は開催された。神戸市も加わった実行委員会が企業版ふるさと納税を通じた出資もあったチャリティーマッチだったため、中止となれば行政を巻き込んだ大問題に発展していた可能性がある。

ヤスダグループは「子供に夢を与える」理念を掲げるが、CEOの安田慶祐氏は「安田財閥の末裔」を自称しつつ、過去には訴訟や口座差し押さえの経験がある。業界内では実態が不明瞭な企業との評判で、今回の事件は日本サッカー界の信用をも揺るがす前代未聞の金銭トラブルとなった。


アトレティコ・マドリード 写真:Getty Images

アトレティコ・マドリードの公金流用事件(1987-2003)

スペインの名門アトレティコ・マドリードは、1987年から2003年まで会長を務めたヘスス・ヒル氏(2004年に71歳で死去)の下で、1995/96シーズンにリーグとカップ戦の2冠を達成したが、裏では深刻な金銭スキャンダルが進行していた。

建設会社を経営し、マルベーリャ市長でもあったヒル氏は、市の公金をクラブに不正流用し、個人や関連企業の資金とクラブ資金を混同させていた。

2002年、株式不正取得や公金横領で有罪判決を受け、罰金や執行猶予付きの刑が科された。その後、2003年に会長を辞任。クラブは一時、裁判所指名の管財人管理下に置かれ、2000/01から2シーズン2部降格を経験するなど経営危機に直面した。

この事件は、ワンマン経営によるクラブ私物化の危険性を示す典型例として知られる。


ユベントス 写真:Getty Images

イタリアの八百長スキャンダル「カルチョーポリ」(2006)

2006年、FIFAワールドカップ(W杯)ドイツ大会直前にイタリアサッカー界を揺るがした「カルチョーポリ」は、ユベントスのGMルチアーノ・モッジ氏(当時)を中心に、審判割り当てへの不正介入が行われた事件である。

盗聴された会話記録から、ユベントスが有利な審判を割り当ててもらうよう工作していたことが発覚。ミランやラツィオ、フィオレンティーナ、レッジーナなど複数クラブも関与した。

ユベントスは2004/05、2005/06シーズンのスクデット(リーグ優勝タイトル)を剥奪され、セリエBへの強制降格処分を受けた。他クラブも勝ち点剥奪などのペナルティを科され、イタリアサッカー界全体の信頼が揺らいだ。

この事件は、トップクラブによる組織的な不正の実態を露呈した典型例として知られる。

Previous
ページ 1 / 2

名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

筆者記事一覧