
AFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)2024/25の準々決勝が、3月23日に熊谷スポーツ文化公園陸上競技場にて行われた。
日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)所属の三菱重工浦和レッズレディースは、中国の武漢江大と対戦。45分ハーフの前後半と、15分ハーフの延長戦を終えても両軍ともに得点を挙げられず、試合の決着はPK戦に委ねられる。8人中2人のキック失敗に留まった武漢に対し、8人中3人失敗の浦和RLが準々決勝で姿を消した(PK戦スコア:5-6)。
AWCL準々決勝敗退を受け、浦和RLは3月26日に楠瀬直木監督の解任、ならびに堀孝史氏の新監督就任を発表。2022/23、2023/24シーズンのWEリーグ連覇や昨年のAFC女子クラブチャンピオンシップ制覇など、同クラブに数多のタイトルをもたらした名将との契約をシーズン中に打ち切るという荒療治を決断した。
ここではAWCL準々決勝を振り返るとともに、現地取材で得た同クラブFW島田芽依の試合後コメントを紹介する。そのうえで浦和RLの敗因や、同クラブが今後突き詰めるべき課題に言及していく。

パスの受け手に問題が
この試合における両軍の基本布陣は、浦和RLが[4-2-3-1]で武漢が[5-4-1]。武漢は攻撃時にDFソン・フェイが左サイドハーフから最前線へポジションを移し、[5-3-2]に隊形変化していた。
前半7分に浦和RLのMF栗島朱里(左サイドバック)からDF高橋はな(1トップ)へのロングパスが繋がると思われたが、高橋がオフサイドの反則をとられる。このシーンに限らず、浦和RL陣営の相手最終ライン背後を狙う姿勢は旺盛だったものの、パスの受け手が武漢の5バックに張り付きすぎる場面がしばしば。パスの受け手がオフサイドの反則をとられかねないポジションにいることで、攻撃に関われない場面が多かった。
浦和RLとしては、パスの受け手が相手最終ラインの数歩手前から助走をつけ、その背後へ走るプレーを増やしたかったところ。パスの受け手の立ち位置や動き方に問題があった。

島田が挙げた改善点は
基本布陣[4-2-3-1]の右サイドハーフとして先発し、試合後に筆者の取材に応じた島田は、パスの出し手と受け手の意思疎通を課題に挙げている。島田自身も、前半26分に栗島からのロングパスを受けようとしたところオフサイドの反則をとられており、動き出しや立ち位置の質を高める必要がありそうだ。
ー浦和の選手たちが、相手最終ラインと同一線上に並んでしまっている印象を受けました。もう2、3歩下がって助走をつければ、相手最終ラインの背後へうまく抜け出せると思いましたね。同一線上に並ぶとオフサイドにかかりやすいですし、ゲーム(攻撃)に関われない選手が多かったように見えましたが、島田選手はどう感じていらっしゃいますか。
「左サイドで味方がボールを持っているときは、外から相手が見えている(逆サイドにいる島田が、大外から相手最終ラインを見れる)ので、並ばないように凄く意識していたんですけど、パスの受け手と出し手のタイミングのところでオフサイドにかかってしまいました。もう少しタイミングをとらないと(味方と合わせないと)いけないなと思いました」

栗島と伊藤を活かしきれず
この試合では左サイドバックの栗島と、左サイドハーフを務めたMF伊藤美紀が相手ウイングバックとサイドハーフの中間に立ち、度々フリーに。この2人にいち早くボールを渡せばチャンスになり得る場面がいくつかあったが、密集地帯である武漢のセンターバックとボランチ間への縦パスや、繋がる可能性が低い相手センターバック背後へのパスを他の選手が送ってしまう場面がちらほら。ゆえに相手の守備ブロックを崩しきれなかった。
また、敵陣のサイドにボールが到達してもクロスのバリエーションが乏しく、これも武漢の守備を崩せなかった原因のひとつ。サイドの深いところへ一旦ボールや選手を送り込み、パスワークの起点を作る。そこから後方の味方選手にボールを渡し、このパスを受けた選手がすかさずクロスボールをペナルティエリアへ送る。こうしたサイド攻撃が武漢戦では少なかった。
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