Jリーグ

混迷極めるJ1昇格プレーオフ圏争いの展望【J2リーグ2024】

写真:Getty Images

明治安田J2リーグは第36節までが終了。前節、昨年最終節で水戸ホーリーホックと引き分け自動昇格圏をジュビロ磐田に明け渡し、J1昇格プレーオフ決勝では東京ヴェルディに土壇場で同点ゴールを許してJ1復帰を逃した清水エスパルスがラスト2試合を残して昇格を決めた。

しかし、残るもう1つの自動昇格枠も含め今季もJ1昇格プレーオフ進出を懸けた争いはまだまだ決着の見通しがたたない。前節の結果を受けていわきFCが脱落したものの、7位モンテディオ山形までが可能性を残しており、結末がどうなるのか注目を集めている。

ここでは、現在2位につける横浜FCを含め、J1昇格プレーオフを戦う可能性がある6チームそれぞれについて、残り2試合の行方を展望する。


横浜FC 写真:Getty Images

昇格間近で足踏み

2位:横浜FC

残りの対戦カード:栃木SC、レノファ山口

昨2023シーズンはJ1リーグを最下位で終え、唯一のJ2降格を味わった横浜FC。迎えた今季は序盤戦こそややつまずいたものの、第15節のロアッソ熊本戦からは8連勝を含む20戦負けなしと強さを示し、現在自動昇格圏の2位につけている。しかし、ここにきてJ1昇格プレーオフ進出を狙うベガルタ仙台、ファジアーノ岡山に連敗。試合内容を見ても、2試合で7失点と今季安定感を見せてきた守備が崩壊したゲームとなっている。

残り2試合の対戦は栃木SCとレノファ山口。今季はチームが不安定だった序盤戦で対戦し、いずれも勝利を得られていない相手だ。この戦績は、プレーオフに回る3位V・ファーレン長崎との勝ち点差が「5」であることを踏まえると、自動昇格圏の維持に向けて余裕のある状況とは言えない。特に次節対戦する栃木SCは前節清水に昇格を目の前で決められ、自チームはJ3への降格が決定。2試合続けて上位勢の引き立て役になる屈辱は味わいたくないと、決死の姿勢を見せてくるだろう。

横浜FCは直近2試合の大量失点により、得失点差の優位性も無くなった。仮に長崎が残り2試合を連勝し、横浜FCが残りのカードを前半戦と同じ結果で終えた場合、自動昇格圏からの陥落は免れない。とはいえ、2試合を引き分け以上で終えれば逃げ切りが叶うことから、不安要素があるとはいえ圧倒的に有利に立っていることは間違いない。昇格と逆転優勝を成し遂げるためにも、直近の連敗から守備の立て直しを図れるかがカギとなる。


V・ファーレン長崎 写真:Getty Images

自動昇格への可能性も残す

3位V・ファーレン長崎

残りの対戦カード:ジェフユナイテッド千葉、愛媛FC

今季は第3節から22試合無敗と安定した戦いを続け、一時は首位にも立ったV・ファーレン長崎。残念ながら8月の未勝利が響き優勝争いからは脱落したものの、直近は3連勝と勢いを取り戻しプレーオフ進出を確定させながら上位を猛追している。残念ながら清水には逃げ切りを許したが、残る1つの自動昇格枠につける2位横浜FCとの勝ち点差は「5」。連敗で調子を落としている相手であるだけに、大逆転での自動昇格は十分可能性があると言えよう。

自動昇格圏を狙う長崎にとって横浜FCの試合結果も気になるところだが、まずは自チームが勝てなければ可能性は潰える。その上で重要な1戦となるのが次節のジェフユナイテッド千葉戦だ。今季前半戦の対戦では1-0と接戦を制した相手だが、現在5連勝中とプレーオフ進出目指して勢いを増しているだけに呑まれる可能性もあり得る。また、長崎は後半戦に入ってから現在の上位勢との対戦で勝てていない。加えて、後半戦アウェーでは2勝5分2敗と勝ちきれないゲームが多いことも気がかりな要素だ。

すでにプレーオフ進出を決めている一方で自動昇格もわずかに可能性を残すなか、自チームが勝ちきれずに横浜FCを見送ることは避けたい。最終節の愛媛FC戦ももちろん重要だが、まずはプレーオフに回った場合でも対戦の可能性が残る千葉をここで叩き、上位勢相手の不安を払拭できるか。いずれにせよ昇格のために勝利が必要な1戦であることは間違いない。


ジェフユナイテッド千葉 写真:Getty Images

プレーオフ争いのカギを握る

4位:ジェフユナイテッド千葉

残りの対戦カード:V・ファーレン長崎、モンテディオ山形

今季のJ1昇格プレーオフをめぐる争いのカギを握るのは、間違いなくジェフユナイテッド千葉だ。昨シーズンに続き今季も序盤戦でつまずいてしまったが、終盤に入り連勝を重ね2年連続のプレーオフ進出が見えてきた。そのなかで、次節はわずかに自動昇格の可能性を残すV・ファーレン長崎戦、最終節は現時点で7位につけ逆転でのプレーオフ進出を狙うモンテディオ山形戦と上位勢との大一番が続く。山形は現在千葉を含むプレーオフ圏4位~6位までとの勝ち点差が「1」あることから、次節各チームの結果次第でプレーオフ進出の道が断たれる可能性がある。また、千葉にとっては仮に長崎に敗れたとしても山形戦の勝利でプレーオフ進出が叶う状況だ。

しかし、今季前半戦では2つのカードとも敗戦。相手の現在置かれている状況やプレーオフ進出を目指すライバルたちの好調ぶりも踏まえると、とても楽観視はできない。プレーオフ進出を争うライバルたちと比べ優位な点を挙げるのであれば得失点差だろう。J2で2位タイの得点数を武器に、2試合で覆すことが難しい差をつけており勝ち点で並んだ際は上に立てる可能性が高い。ただし、ここで連敗すれば脱落もあり得る。プレーオフ圏以上を狙う各クラブが固唾を飲んで見守る千葉の試合の行方。自チームにとっても落とせない2試合で、爆発的な攻撃力を活かしきれるかがカギだ。

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名前大島俊亮
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