最終盤を迎え2試合を残すのみとなった2023明治安田生命J2リーグ。すでに初優勝を決めた町田ゼルビアがクラブ初となるJ1昇格を成し遂げ、残る自動昇格枠はあと1つ。その1枠をめぐる争いが激化している。勝ち点の上では、5位のジェフユナイテッド市原・千葉までが可能性を残している状況だが、得失点差を考慮すれば、現実的には2位清水エスパルス、3位ジュビロ磐田、4位東京ヴェルディの3クラブで競うことになるだろう。
ここでは、熾烈な争いを繰り広げる名門3クラブについて、残りの対戦カードと今季戦績から自動昇格圏争いの展望を見ていこう。
2位:清水エスパルス「痛すぎる第40節の敗北」
残りの対戦カードと今季戦績
- 第41節:大宮アルディージャ(第11節3-0)
- 第42節:水戸ホーリーホック(第1節0-0)
開幕から7戦未勝利とつまずいた今2023シーズンの清水エスパルスだが、2戦を残し現在2位で自動昇格圏につけている。直近の第40節ではロアッソ熊本に1-3と今季初の逆転負けを喫し、自ら昇格圏争いを激化させてしまった。とはいえ、勝ち点や得失点差においては大きなアドバンテージを得ている清水。残り2戦のカードは大宮アルディージャ(現21位)と水戸ホーリーホック(現17位)だ。
大宮とは今季第11節の対戦で、攻撃を牽引するMF乾貴士のゴールを皮切りに3-0と快勝している。しかし、現在21位の大宮は残留争いの真っ只中。清水とは全く逆の立場だが、負けが許されないという状況は同じだ。第40節ではヴァンフォーレ甲府に0-2で敗れてしまった大宮。それまでは4連勝を挙げており、この終盤戦で息を吹き返した感もある。もし清水に敗れればJ3への降格圏が決まってしまうだけに決死の覚悟で挑んで来るに違いない。
一方、最終節で対戦する水戸とは開幕戦でスコアレスドローとなっている。ある意味、今季の清水が最初につまづいた相手であり、こちらも簡単な試合にはならないだろう。何より気がかりなのは、現状ボトムハーフにいるクラブからの取りこぼしが多いこと。直近の熊本戦を除いても、第37節で藤枝MYFCに敗戦(0-2)、7月から続いた14戦無敗期間にも栃木SC(第27節1-1)や徳島ヴォルティス(第33節0-0)など下位勢に対して勝ちきれないゲームを繰り返してきた。これまで清水が上位勢相手に見せてきた勝負強さを、この土壇場で発揮できるか注目だ。
3位:ジュビロ磐田「有利な対戦カードで連勝を狙う」
残りの対戦カードと今季戦績
- 第41節:水戸ホーリーホック(第8節5-1)
- 第42節:栃木SC(第6節2-0)
第40節は東京Vとの直接対決に臨み、1-1と勝ち点1を分け合ったジュビロ磐田。町田、清水、千葉など上位勢との直接対決では軒並み敗れていただけに、白星こそあげられなかったものの安堵したファンやサポーターは多かったと思われる。残り2戦は水戸と栃木SCとのカード。いずれも今季は快勝している相手だ。また、ほかの下位勢とのゲームでも複数得点での勝利が多く、選手たちもポジティブな印象で臨めることは間違いない。
今季水戸との1戦目は、昨年2試合の出場にとどまったMFドゥドゥの2得点を含む大量5ゴールで快勝。栃木との1戦目も、今季不動の左サイドバックとして躍動しているDF松原后の加入後初ゴールを含む2得点で勝利しており、補強できずにシーズンをスタートさせた磐田にとって、近年獲得していた選手が活躍した嬉しい勝利となっている。
磐田にとって不安要素があるとすれば栃木との対戦だろう。現在18位の栃木は、次節の勝敗によってJ2残留を最終節まで確定できない可能性がある。2連敗すれば現状21位の大宮に勝ち点で抜かれる危険性もあり、状況によっては厄介な相手だ。現状2位清水と磐田の勝ち点差はわずかに1。清水が連勝すれば昇格が決まってしまうため、相手の結果次第という歯がゆい現状ではあるが、いずれにしても磐田にとって連勝は必要不可欠。再逆転で自動昇格圏入りを果たすべく、良いイメージで臨める残り2つの対戦カードをものにできるかが勝負の分かれ目だ。
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