2023明治安田生命J1リーグ第18節の全9試合が6月24日と25日に行われ、湘南ベルマーレは24日、本拠地レモンガススタジアム平塚でサガン鳥栖と対戦。最終スコア0-6で敗れた。
直近のリーグ戦11試合勝ちなしと、大不振に喘いでいる湘南。今節の大敗でJ1リーグ最下位へ転落し、J2リーグ降格も現実味を帯びてきた。ここでは鳥栖戦を振り返るとともに、湘南がただちに向き合うべき問題点について解説する。
湘南vs鳥栖:試合展開
前半2分、湘南は自陣でのボールロストから鳥栖のMF小野裕二にシュートを放たれ失点。同30分にも鳥栖のロングカウンターを浴び、小野に追加点を奪われた。
後半3分には、湘南のDF杉岡大暉が自陣ペナルティエリア内で鳥栖のMF長沼洋一を倒してしまい、アウェイチームにPKが与えられる。このチャンスをキッカーの小野が物にしたことで、鳥栖のリードが3点に広がった。
その後湘南は途中出場のFW町野修斗のヘディングシュート、ロングカウンターからのFW大橋祐紀の連続シュートで鳥栖のゴールを脅かしたものの、GK朴一圭の好セーブに阻まれる。後半18分に鳥栖のサイド攻撃を浴びると、MF菊地泰智(左サイドバック)のクロスに反応したMF堀米勇輝に追加点を奪われ、試合の趨勢が決した。
山口智監督による[4-4-2]への布陣変更も実らず、湘南は試合終盤にも失点。途中出場のDF舘幸希が後半41分に鳥栖のスローインの処理を誤り、この直後にFW樺山諒乃介のクロスからFW藤原悠汰のゴールを許すと、アディショナルタイムにはFW富樫敬真のクロスに反応した樺山にとどめを刺された。
緻密さに欠けた湘南のロングパス攻勢
この日も[3-1-4-2]の基本布陣で臨んだ湘南は、キックオフ直後からロングパスでの局面打開を試みる。3バックの左を務めた杉岡が最前線に複数回ロングパスを送ったが、タリクと大橋の両FW(2トップ)との呼吸が合わず。基本布陣[4-2-3-1]の鳥栖の最終ラインの背後を第一に狙うのか、それともその手前にロングパスを送るのかの優先順位が曖昧で、ゆえに湘南はボールロストを繰り返した。
この悪しき傾向が最悪の結果に繋がったのが、前半2分。ここでは湘南のDF山本脩斗(3バックの中央)が自陣ゴールライン付近から浮き球を繰り出したものの、この中途半端なパスを鳥栖のDF原田亘に奪われる。原田のパスを受けた小野にシュートを放たれたことで、湘南は先制を許した。
最終ラインからどこにロングパスを送り、パスの受け手はどこを走るのか。これをチーム内で共有しきれなかったことが、試合開始早々から続いたボールロストや1失点目に繋がったと言って間違いないだろう。ボールを敵陣まで運ぶための緻密なプレー原則の策定と共有が、今の湘南には必要だ。
湘南に推奨したい攻撃
最終ラインからのロングパスで局面打開を図るのであれば、4バックの相手にはセンターバックとサイドバックの間へボールを送り、2トップがここを走り抜けてパスを受けるというものを具体案として推奨したい。
湘南は今節、鳥栖の2センターバックの手前やその真後ろに何回かロングパスを送っていたが、このエリアは相手チームにとってケアがしやすい。センターバックの真後ろはGKが飛び出して対応しやすく、その手前はセンターバック自身がボールとマークすべき相手選手を同一視野内に入れるのが容易だからだ。
一方、2トップが斜め方向のランニングを使い、4バックでは開きやすいセンターバックとサイドバックの間から最終ラインの背後へ侵入すれば、相手センターバックとしてはボールとマークすべき選手を同一視野内に収めにくい。特に前半は湘南の2トップによるこの動きが少なく、鳥栖の守備隊形の攻略には至らなかった。
ポストプレーが得意なFW町野修斗がベンチスタートだったことを踏まえても、湘南が前半に見せた相手センターバックの手前へのロングパスは効果的だったとは言い難い。自陣後方のタッチライン際でパスを捌こうとする鳥栖の両サイドバックにプレスをかけるなど、湘南の守備の狙いは明確だっただけに、漫然とした攻撃で自滅してしまったのが悔やまれる。
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