
アーセン・ベンゲルの長期政権から脱却し白羽の矢が立ったウナイ・エメリ。新体制で迎えた今シーズンは従来と変わらず芳しくない結果で着地することになった。世界屈指の2トップの融合で圧倒的な攻撃力を手にすることはできたが、それだけではいい成績を残せないのが今のプレミアリーグ。3シーズンぶりとなるチャンピオンズリーグ出場とは今シーズンもならなかった。そんなアーセナルを物語る3試合をご紹介したい。
【プレミアリーグ29節 トッテナム戦(A) 1-1△】
チャンピオンズリーグ出場が遠のくアーセナルだが、厳密に言えば出場へと導いてくれるチャンスはたくさんあった。その1つに、このノースロンドンダービーを取り上げたい。前半幸先よくアーロン・ラムジーのゴールで先制し防戦ながら主導権を握る構図が生まれていた。
しかし、後半好調ぶりが伺えたラムジーは何故かメスト・エジルと交代。そこからアーセナルは後手に回ることになり結果セットプレーで取られたPKで同点に追いつかれる。それでも天はアーセナルを見放さなかった。後半アディショナルタイムにピエール=エメリク・オーバメヤンがダビンソン・サンチェスに倒されPKを獲得。終盤でライバルに勝利できるビッグチャンスだったが、オーバメヤンが放ったシュートはコースが甘くウーゴ・ロリスに阻まれてしまい勝ち越しのチャンスを逃してしまった。
もしこのPKが入っていれば勝ち点差でトッテナムを上回りチャンピオンズリーグ出場を決めていただけに痛恨のドローとなった。
【プレミアリーグ36節 レスター戦(A) 3-0●】
36.8%。これはプレミアリーグにおけるアーセナルのアウェーでの勝率である。近年のアーセナルはこうしたアウェーゲームに弱いイメージが定着してしまっている。この試合でもその印象が如実に出てしまった。
好調レスターとのアウェーならより慎重に試合をコントロールしたいところだが、前半のうちにエインズリー・メイトランド=ナイルズが2枚のイエローカードで退場し数的不利になってしまう。そんな状況の中、チャンピオンズリーグ出場に向け少しでも上位に食らいつきたい焦りからかまたもや奇妙な行動に出る。何と最終ラインの位置を高くしたのだ。
ただでさえ裏への抜け出しから得点を量産しているジェイミー・バーディーがレスターには存在しているのにこの判断は少し軽率だったのではないかと考える。もちろんバーディーはアーセナルの高いディフェンスラインを抜け出し2得点をマーク。アーセナルは引き分けどころか深い傷を負う状態で敗戦を喫した。
【ヨーロッパリーグ準決勝 バレンシア戦(A) 2-4○】
プレミアリーグでは芳しくない成績だが、ヨーロッパリーグでの躍進は本当に素晴らしい。率いるチームが変わったとしてもヨーロッパリーグに強いエメリの手腕は評価されるべきだ。
中でも難攻不落の地としてラ・リーガでは有名なメスタージャで圧勝したこの試合の戦いぶりは見事だった。1stレグで2点ビハインドを背負い迎えたバレンシアは試合開始から猛攻を仕掛けるが、アーセナルはバレンシアの勢いをうまく吸収しオーバメヤンとラカゼットのデュオにすべてを託した。
彼らの個人突破は分かっていても止められない脅威を持ち、今シーズン更に洗練された2人にバレンシアは抗うことはできなかった。オーバメヤンのハットトリックが結果的に試合を決定づけ、アーセナルがヨーロッパリーグ決勝へと進出を決めた。
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