Jリーグ 鹿島アントラーズ

なでしこジャパン「解任劇」の裏で渦巻く不信感。元鹿島ヴァイラーも「日本に関わりたくない」

ニルス・ニールセン 写真:アフロスポーツ

 なでしこジャパン(日本女子代表)のニルス・ニールセン監督は先日、女子アジアカップで優勝を成し遂げたにもかかわらず、4月はじめに退任。日本サッカー協会(JFA)佐々木則夫女子ナショナルチームダイレクターによる監督交代の理由説明が波紋を呼び、一部選手から疑問の声が上がっている。外国人指導者に対する日本サッカー関係者の対応は以前から問題視されているが、今回の「解任劇」はその構造的な問題を改めて白日の下にさらした。

 女子アジアカップで全6試合で29得点1失点。これだけの圧倒的な結果を残して優勝しながら、欧州出身の指揮官は職を失った。そう聞けば、多くの人間が首を傾げるだろう。

 佐々木氏は退任の理由について、「ニールセンの性格は温厚で僕も大好きだが、W杯優勝することを逆算した中で見てきた。その中で、どうしてもサッカーに対する指導が緩いというか、甘い。もっと突き詰めたアプローチ、トレーニングが必要だった」などと説明している。

 だが、その説明は関係者の間で即座に疑問視された。

 Jリーグの事情に精通する海外ジャーナリストのリオネル・ピケ氏は、「選手たちは彼のことが本当に好きだったし、見たところ、素晴らしい仕事をしてくれていた」「数人の選手が個人的に、彼のことが好きだ、雰囲気は良かった、だから解雇するなんて全く意味がわからないと言っていた」と複数の内部証言も明かしている。

 アジアカップ優勝と結果を残していた。選手の信頼も厚かった。それでも、JFAは動いた。表の理由は「指導が甘い」。だが、本当の理由がそれだけなのか、現時点では誰も確認できない。

 そして、この問題には「前例」がある。ピケ氏が証言として挙げたのが、鹿島アントラーズを率いたレネ・ヴァイラー監督の事例だ。「ヴァイラーは鹿島でまったく同じ問題に直面していた。解任された後、複数のクラブが監督を探していることを伝えたが、彼は『日本サッカー特有の組織体制にはもう関わりたくない』『自分には自由が必要だ』と言っていた」と同氏は語る。

 これは重大な証言だ。ヴァイラーは2022年8月、わずか半年あまりで鹿島を去った。欧州やアフリカでの実績を引っさげて来日した指揮官が「日本の組織体制にはもう関わりたくない」と断言したという事実は、単なる個人の感想では済まされない。それが慢性化した構造問題の産物だとすれば、今回のニールセン解任もその延長線上にある。

 一部の外国人指導者が「日本特有の組織体制」に嫌気を指し、去った後に「関わりたくない」と言い残す。その繰り返しが続けば、間違いなく日本サッカー界の発展を妨げるファクターとなる。