
選手生命の危機にも直面していたアヤックス・アムステルダムのDF冨安健洋(27)が、2026年3月の英国遠征で約1年9か月ぶりに日本代表へ復帰する。FIFAワールドカップ北中米大会出場を見据え、その存在が再び現実味を帯びてきた。
根強く続いてきた待望論はいよいよ実現へ。では、冨安の復帰は日本代表に何をもたらすのか。ここでは、サムライブルーに与える“戦術的インパクト”と精神面での変化を整理する。
世界トップ基準で戦ってきた“万能型センターバック”
冨安は、日本サッカー史上で最高峰のレベルに到達したセンターバックだ。
センターバックはシステムによって求められる役割が異なる。4バックでは高さと対人の強さ、3バックでは広範囲をカバーする走力と機動力が重視される。同じポジションでも適性は大きく変わるが、冨安はその両方に対応できる稀有な存在だ。
さらに、センターバックにとどまらず、フルバック(サイドバック)やアンカー(守備的MF)、ウイングバックとしても高いレベルでプレー可能。両足でのビルドアップにも優れ、左右を問わず起用できる柔軟性を持つ。
アーセナルで世界トップクラスのストライカーと対峙してきた経験は、日本代表にとって大きな意味を持つ。強豪国との対戦でも“名前負けしない存在”がいることで、チーム全体に自信と落ち着きをもたらし、試合前から萎縮するリスクを軽減できる。
戦術を隠す“煙幕”としての存在
対戦相手は、日本代表を徹底的に分析した上で戦略を練ってくる。その中で、冨安の存在は相手の想定を大きく狂わせる要素となる。
センターバック、フルバック(サイドバック)、ボランチと複数ポジションを高水準でこなせる冨安がいることで、日本のシステムは固定されない。試合前に提出されるメンバー表を見ても配置が読み切れず、相手にとっては準備段階から不確定要素を抱えることになる。
つまり冨安は、日本代表における“煙幕”の役割を担う存在だ。
森保一監督にとっては戦術の選択肢が飛躍的に広がり、試合中のシステム変更やポジション調整も柔軟に行える。日本代表は主導権を握りながら変化を繰り出し、相手を後手に回すことが可能になる。
さらに相手が変化を加えてきた場合でも、冨安のポジション可変性によって即座に対応できる。守備と配置の両面で“後出し”が利く点は大きな強みだ。
冨安という駒の有無によって、森保一監督の戦術的な選択肢には大きな差が生じる。
加えて、FCコペンハーゲンのDF鈴木淳之介(22)のようなポリバレントな選手と併用すれば、その効果はさらに高まる。2人の配置次第でシステムは自在に変化し、相手にとっては試合の全体像を掴むことが一層難しくなるだろう。
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