Jリーグ 名古屋グランパス

名古屋グランパス“2スタジアム体制”が変える集客と収益の新戦略【J1リーグ】

名古屋グランパス 写真:アフロスポーツ

運営面で生まれる“選択肢”

2つのスタジアムを使い分けることは、試合運営において新たな選択肢を生む。試合ごとに会場を選択できることで、需要に応じたチケット販売が可能になる点は大きなメリットである。

多数の動員が見込まれる試合は、豊田で開催することで収益の最大化を図ることができる。一方で、来場を促進したい場合は瑞穂の利用で観客数の底上げにつなげやすい。

この使い分けは、チケット価格の設計にも影響する。需要の高い試合を大規模スタジアムで開催すれば、席種や価格帯の幅を広げることができる。一方、平日のナイターなど集客が読みにくい試合を中規模スタジアムで行えば、過度な空席を避けながら安定した販売が見込める。

さらに、会場規模を調整できる点も重要である。適切な規模のスタジアムを選ぶことで満員に近い状態を作りやすくなり、会場全体の雰囲気を高めることができる。

加えて、運営コストの観点でも違いは無視できない。大規模スタジアムは運営にかかる人員や設備の負担が大きい一方で、中規模スタジアムは比較的コストを抑えた開催が可能となる。試合ごとに最適な会場を選択できることは、収益とコストのバランスを取りやすくする点でも大きな利点と言える。


他クラブとの比較で見える違い

Jリーグにおいて、複数スタジアムを併用するケース自体は珍しくない。浦和レッズは埼玉スタジアム2002と浦和駒場スタジアムを、また横浜F・マリノスも日産スタジアムとニッパツ三ツ沢球技場を使い分けてきた。

ただし、これらの多くは「メイン+サブ」という明確な役割分担のもとで運用されている。埼玉スタジアム2002や日産スタジアムを主会場とし、駒場や三ツ沢は補完的な役割を担う形が一般的だ。集客や収益の軸は、基本的にメインスタジアムに置かれている。

一方で、名古屋は豊田と瑞穂の両方が一定規模の収容力を備えており、どちらか一方に依存するのではなく、試合ごとに開催スタジアムを選択する余地が生まれる。

この違いは運用の性質に直結する。従来の「メイン+サブ」構造が補完的な使い分けにとどまるのに対し、名古屋は試合ごとに最適な条件を選択できるのが特徴だ。収容規模や立地の違いを前提に、集客や収益を柔軟に調整できる点が2スタジアム体制の本質と言えるだろう。


瑞穂スタジアムの改修がもたらす変化

豊田と瑞穂という2つのスタジアムを持つことで、名古屋は試合ごとに最適な条件を選択できる体制となった。大規模な試合では収益性を重視し、日常的な試合では来場のしやすさを重視する。この使い分けにより、集客の幅と安定性の両方が可能となる。

どこで試合を行うかによって、集まる客層や収益構造は変化する。さらに、スタジアムの規模や立地はクラブの印象にも影響を与える要素となる。スタジアムの選択は開催地の違いにとどまらず、クラブ運営そのものに直結する判断と言える。

このように、2スタジアム体制は試合ごとに最適解を選び取る柔軟性をもたらす。スタジアムの違いそのものを戦略として活用できる点に、名古屋の大きな特徴がある。

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名前:Nao
趣味:サッカー観戦、お酒、子供が所属するサッカークラブの応援
2023年からライターとしての活動を始めました。プライベートでは3人の男児の父親、個人ブログ「FootballAnalysis」を運営しています。サッカーがある日常、特に試合がある日の街の風景やスタジアム周辺の雰囲気が大好きです。多くの人にサッカーの楽しさを知って頂ける記事を書いていきたいと思います。よろしくお願いします!

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