
Jリーグ開催は可能か:シーズン日程重複という壁
改修後のスタジアムはJ1基準を満たす設計とされており、サッカー利用の誘致も視野に入る。現在は関東サッカーリーグ1部の東京23FCがホームスタジアムとして使用しており、改修後はより本格的な公式戦開催環境が整う見込みだ。ただし、関東1部クラブが独占的に使用する可能性は高くないだろう。J1のFC東京、東京ヴェルディ、町田ゼルビアが東京23区内での専用スタジアムを求めている状況を踏まえれば、えどりくフィールドが選択肢の1つとなる可能性もある。ただし、これらは現時点では推測の域を出ない。
一方、運用面での課題となるのがシーズンの重複だ。ジャパンラグビーリーグワン2025/26シーズンは2025年12月から2026年5月まで開催される。一方、Jリーグは2026/27シーズンから秋春制に移行し、8月から翌年6月まで試合が行われる予定で、3〜5月には日程が重なることになる。
ラグビー場との共用をめぐっては、東大阪市花園ラグビー場でJ3のFC大阪がスタジアムを共有している例がある。しかし、芝管理やスタジアム基準の問題などの影響もあり、2025シーズンのJ2昇格プレーオフでは花園が使用できず、鳥取市のAxisバードスタジアムで準決勝と決勝を戦うことになった(決勝でテゲバジャーロ宮崎に敗退)。こうした事例からも、日程調整や芝の維持管理は運用上の大きな課題となる可能性がある。
もっとも、えどりくフィールドの改修は民間提案型事業として進められるため、運営事業者が柔軟なスケジュール調整や複合利用の仕組みを提案できれば、両競技の共存は不可能ではない。江戸川区の公式資料でも「区民やプロスポーツ等が共に利用できる」とされており、ラグビー優先とは明記されていない。ただし、運用次第ではFC大阪と同様の課題に直面する可能性もある。
アクセス問題と東京クラブの潜在的関心
西葛西駅からのアクセス改善も課題の1つだ。現在は徒歩約15分だが、駐車場や駐輪場の拡充、直行バスの運行などが実現すれば利便性の向上につながる。江戸川区は周辺公園との連携も視野に入れており、試合開催による駅周辺のにぎわい創出にも期待を寄せている。
サッカー界では、専用スタジアム建設計画を掲げる南葛SCを除き、横河武蔵野FC(JFL)、東京ユナイテッドFC(関東1部)、EDO ALL UNITED(関東2部)、シュワーボ東京(東京都1部)など、複数クラブが将来的なホーム候補として関心を示す可能性がある。
一方、J1クラブではFC東京、東京ヴェルディ、町田ゼルビアが候補として名前に挙がることもある。ただし、これらのクラブについては、2021年に構想が報じられた代々木公園の新スタジアム計画への期待も根強い。
もっとも、この計画は国立競技場のサブトラック機能を担う関係から、陸上トラック併設となる可能性が指摘されており、サッカー専用スタジアムとはならないとの見方もある。その場合、えどりくフィールドが現実的な選択肢として浮上する可能性もあるが、収容人数が1万5,000人規模にとどまる点を考えると、J1クラブが本拠地として関心を示すかは不透明だ。
“23区東部の新拠点”となるか:今後の焦点
提案審査は2026年秋以降に予定されており、具体的な施設構成や運営方法は民間事業者の提案に委ねられる部分が大きい。プロスポーツ興行による収益確保と区民利用をどう両立させるかが、スタジアム運営の大きな鍵となる。
さらに、ラグビーとサッカーをはじめとする複数競技の共用スタジアムとなる場合、芝管理や日程調整といった運用面の課題も避けて通れない。ラグビー場とサッカーの共用で課題が生じた東大阪市花園ラグビー場の事例は、その難しさを示している。
もっとも、江戸川区が掲げるのは特定競技に偏らない「プロスポーツ等」の利用だ。ラグビーを本拠としながらサッカーを含む複数競技が共存するスタジアムとなれば、首都圏では珍しいモデルケースとなる。
東京23区には現在、J1クラブの本拠となる球技専用スタジアムは存在しない。えどりくフィールドの改修計画は、その空白を埋める存在となるのか。ラグビーとサッカーが共存する新たな都市型スタジアムとして機能するのか、今後の事業提案と運営設計が注目される。
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