
アストン・ビラの鮮やかな転換
この極めて困難で危険な「ポゼッションベースへの戦術的転換」を成功させ、トップ集団への定着を果たした稀有な例が、アストン・ビラである。過去102試合における平均リーグ順位は4位で、チェルシーやマンチェスター・ユナイテッドを大きく上回っている。もし、新たに「ビッグ6」を再定義するなら、ビラがその一角を担うことになるだろう。
ウナイ・エメリ監督は就任当初、リードを奪って逃げ切る慎重な戦術を用いていた。しかし、最初の夏の移籍市場で足元の技術に優れたセンターバック、DFパウ・トーレスを獲得したことが起爆剤となり、チームは段階的にポゼッション志向へと舵を切った。
さらに幸運だったのは、足元の技術に長けたGKエミリアーノ・マルティネスがすでに在籍していたことと、前体制下でくすぶっていた選手たちが新たなスタイルに順応した点だ。実際、ビラのポゼッション率は2022/23シーズンの49.4%から2023/24シーズンには53.2%へと跳ね上がり、ボールを支配して勝ち切る強豪クラブへと変貌を遂げた。
迷走するノッティンガム・フォレスト
ビラとは対照的な軌跡をたどったのがノッティンガム・フォレストである。2024/25シーズンにリーグ7位へと躍進した後、夏に1億8000万ポンド(約350億円)を投じて選手層を厚くした。しかし、その補強は必ずしも戦術的整合性を伴うものではなかった。例えば、MFドウグラス・ルイスの獲得は、受動的な戦術を好むヌーノ監督のスタイルと明らかにミスマッチだった。
予想通り、ヌーノ監督はわずか4試合で解任される。後任には、ポゼッション志向のアンジェ・ポステコグルー氏を招聘したが、ここで過密日程という現実が立ちはだかった。UEFAカンファレンスリーグ参戦により平日の練習時間が取れず、新監督は自身の複雑な戦術を選手に落とし込むことが全くできなかったのだ。
結局、彼もわずか8試合で解任。クラブは再びリアクティブなダイチ監督へと舵を切るが、上昇の兆しを見いだせないまま解任に。今シーズンだけで4人目の監督を迎えたフォレストは、現在17位に沈み、降格の危機に瀕している。次期体制を見据えた補強まで施しながらも、戦術的転換と日程負荷の“二重苦”に耐えきれなかった典型例と言えるだろう。
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