
2026年1月12日、第104回全国高校サッカー選手権大会の決勝が東京都のMUFGスタジアム(国立競技場)で行われ、神村学園高校(鹿児島県代表)と鹿島学園高校(茨城県代表)が対戦。大会史上最多となる60,142人の観衆が見守る中で行われた一戦は、神村学園が立ち上がりから攻守にわたって主導権を握る展開となった。
前半19分、神村学園MF堀ノ口瑛太(3年)が前線にロングパスを供給すると、このボールにFW徳村楓太(3年)が反応。シュートは鹿島学園GKプムラピー・スリブンヤコ(2年)に阻まれたものの、こぼれ球を拾ったFW日髙元(3年)が左足でコントロールシュートを放ち、神村学園が先制に成功した。勢いに乗る神村学園は30分、徳村のドリブル突破からPK(ペナルティキック)を獲得。しかし、このPKはプムラピーの好セーブに阻まれ、追加点とはならなかった。
それでも39分には待望の2点目が生まれる。左サイドからのクロスをプムラピ―がパンチングで弾くも、DF細山田怜真(3年)がセカンドボールをスライディングでつなぎ、攻撃を継続。このボールを受けた堀ノ口がPA(ペナルティエリア)外から右足で放ったシュートが決まり、神村学園は前半のうちにリードを2点に広げた。
後半も試合の流れは変わらない。鹿島学園に決定機を作られる場面もあったが、キャプテンのDF中野陽斗(3年)を中心とした守備陣がボックス内で自由を与えず、堅守を披露した。そして80分、神村学園はスーパーサブとしてMF佐々木悠太を投入。これが試合を決定づける采配となる。
90分+2分、DF荒木仁翔(3年)から徳村、日髙へと華麗なパスワークでボールを動かすと、日髙が佐々木へスルーパスを供給。PA内でパスを受けた佐々木は、対峙したDFを巧みなトラップでかわし、左足でシュートを放つ。ボールはゴール左隅に決まり、勝負を決定づける3点目となった。
最後まで運動量を落とすことなく攻守に躍動した神村学園が、同校初となる全国制覇を達成。夏の高校総体に続く2冠という偉業を成し遂げた。ここでは、決勝の模様を振り返るとともに、試合後に訊いた指揮官や主力選手たちの言葉から、その強さに迫る。

「神村学園らしいサッカーを体現」
今大会を通じて、有村圭一郎監督の口からたびたび聞かれたのが「神村学園らしさ」という言葉だった。決勝の舞台でも、その“らしさ”を存分に発揮できたと指揮官は振り返る。
「我々は攻めることを志すチームだと思っています。その中で、しぶとく我慢しながら守備にも徹することができました。今日は攻守においてやり切ることができたと思いますし、3年生はこの決勝で高校生活最後のゲームとなるので、悔いのないようにプレーしようと伝えました。その結果、選手たちが神村学園らしいサッカーを体現してくれたと思っています」。
日頃から目指してきたスタイルを、選手権決勝という大舞台で体現できたことに、有村監督は確かな手応えを感じていた。
また、神村学園は今大会の優勝で史上6校目となる夏冬連覇を達成。この偉業について監督は「奇跡的なことだと思っています。今まで鹿児島県を支えてくれた先輩たちの積み上げもあって、今日たまたま2冠達成という形になったと思っていますので、感謝したいです」と語った。

「即時奪還を意識」
決勝で鹿島学園を無失点に抑えた神村学園。その守備の中心に立っていたのが、主将を務め、J2のいわきFCに内定が決まっている中野だ。
完封勝利を収めることができた要因について訊くと「こういった試合では1点がカギを握ると思いますし、2-0の場面から1点を取られると逆に試合をひっくり返されると思うので、最後まで危機感を持つことが大事だと思います。危機感を持っていない選手に対して、危機感を持たせるのも自分の役割だと思っているので、失点につながるプレーはチーム全員で声を掛けて修正できたところが今日の無失点に繋がったと思います」と語った。
また、今年1年間チームで取り組んできたことについて「1年間、『即時奪還』を意識して取り組んできました。全員が守備意識と攻撃意識を持って取り組めたことが、選手権決勝の舞台でこのような結果に繋がったと思っています」と、一貫して磨いてきた「即時奪還」を高校最後の試合で体現できたことが、神村学園を日本一へと導いた大きな要因だと振り返った。
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