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なぜU-23日本代表は大学生を呼び続けるのか?即戦力では測れない評価軸

小倉幸成(左)ンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄(右)写真:Getty Images

U-23日本代表は2026年1月7日、AFC U23アジアカップ サウジアラビア2026の初戦を迎えた。今回の招集メンバーにはJクラブ所属選手に加え、複数の大学所属選手が名を連ねている。こうした構成は近年の年代別代表で繰り返し見られており、プロクラブ所属選手が主軸となるカテゴリーにおいて、大学生が複数名選出される状況は、もはや一時的な傾向とは言い難い。

その背景には、大学サッカーのレベル向上という評価だけでなく、U-23日本代表というカテゴリーが担う役割や選考の前提条件、さらにはクラブや大学といった複数の育成ルートが存在する日本サッカーの仕組みが関係している。ここでは、大学生がなぜU-23日本代表に多く招集されるのか、その理由を整理するとともに、彼らに求められる役割、そしてJリーグ所属選手との環境の違いについて検証していく。


JFA
JFA 写真:Getty Images

大学生が多く招集される理由

U-23日本代表は、年齢制限のないA代表とは異なる役割を担うカテゴリーである。最大の特徴は、目先の完成度よりも、将来的な成長や代表環境への適応力を見極めることに重きが置かれている点だ。大会や代表活動は、将来の代表候補となり得る選手を同一の環境に置き、比較・評価するための場として機能している。そのため、現時点での実績のみで序列を固定することは、必ずしも前提とされていない。

こうした性格を持つカテゴリーであるがゆえに、選考基準は「現在どのリーグでプレーしているか」よりも、「代表環境に置かれた際に何ができるか」に比重が置かれる。Jリーグ所属選手の場合、リーグ戦での出場時間やパフォーマンスといった明確な評価材料が存在する。一方で大学生は、公式戦の母数が少ない分、代表活動の中で示す適応力やプレーの再現性が、より重要な評価対象となる。


「即戦力」に限られない大学生の価値

大学生が代表に招集されると「すぐに試合で起用できるのか?」という観点で語られることが多い。しかし、U-23日本代表における大学生の役割は、単に即戦力として活躍できるかだけではない。実際には短期間で戦術を理解し、与えられた役割をいかに正確に遂行できるかが重視されている。

代表活動は、限られた合宿期間の中でチームを構築しなければならず、個々の能力以上に、役割理解や戦術遂行の精度が問われる環境である。大学生は学業と競技を両立しながら、限られた練習時間や多様な指導環境に適応してきた背景を持つ。その経験は代表合宿という非日常的な環境において、変化への対応力や指示理解の速さとして表れやすい。

代表合宿ではトレーニング初日や前日練習の中で、ポジションの入れ替えや役割変更が短時間で提示されることも珍しくない。クラブで固定された役割を担ってきた選手にとっては調整が必要な場面でも、大学生は与えられたタスクを一度整理し、次のセッションで修正を加えながら対応するケースが見られる。こうした場面で評価されるのは、完成度の高さそのものではなく、提示された役割を把握し、次のトレーニングや試合で修正できるかどうかである。


Jリーグ 写真:Getty Images

環境の違いが生む評価軸の差

大学生とJリーグ所属選手の最も大きな違いは、日常的に置かれている競技環境にある。Jリーグ所属選手は、週単位で公式戦を重ねながらチーム戦術の中で自身の役割を明確化していく。一方、大学生は年間の試合数が限られており、一試合ごとの重要度が高い環境でプレーしている。

こうした環境の違いは、選手を評価する際の視点にも影響を及ぼす。Jリーグでは、安定したパフォーマンスを継続できるかどうかが重視されやすいのに対し、大学サッカーでは局面ごとの判断力や適応力がより際立ちやすい。対戦相手の戦術成熟度やチーム完成度に幅がある分、選手一人ひとりが状況にどう対応するかが表面化されやすいからだ。

U-23日本代表は、こうした異なる背景を持つ選手を同一の舞台に置き、比較・評価する場でもある。大学生の招集は、評価基準を一方向に固定しないための仕組みとして機能しており、日本サッカーに存在する複数の育成ルートを横断的に検証するという意味を持っている。

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名前:Nao
趣味:サッカー観戦、お酒、子供が所属するサッカークラブの応援
2023年からライターとしての活動を始めました。プライベートでは3人の男児の父親、個人ブログ「FootballAnalysis」を運営しています。サッカーがある日常、特に試合がある日の街の風景やスタジアム周辺の雰囲気が大好きです。多くの人にサッカーの楽しさを知って頂ける記事を書いていきたいと思います。よろしくお願いします!

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