
2026年のFIFAワールドカップ(W杯)北中米大会まで、残された時間は半年を切った。48か国参加という新フォーマットのもと、日本代表は「史上初の8強入り」という目標を掲げる一方で、選手層やチームバランスにはこれまでとは異なる難題を抱えている。とりわけ深刻なのが、主力級に相次ぐ負傷離脱と、それに伴う戦力の入れ替わりだ。
冨安健洋、遠藤航、守田英正、三笘薫――。カタール大会を支え、あるいはその後の森保ジャパンを象徴してきた選手たちが、万全とは言えない状態でW杯イヤーを迎えようとしている。限られた時間の中で、森保一監督は「信頼」と「新陳代謝」という相反する要素を、どのように両立させるのか。その判断は、これまで以上にシビアなものとなる。
ここでは、負傷者続出という逆風の中で進む日本代表のメンバー選考を軸に、森保ジャパンの現在地と課題を整理しながら、26枠を巡るサバイバルの実情を考察する。

負傷メンバーの現在地と主力不在の現実
2月に右膝の再手術を受け、リハビリが長期化していたDF冨安健洋は、北中米W杯を明確な目標に掲げながら復帰への歩みを進めている。今夏にアーセナルを離れた後、無所属期間を経てエールディビジの名門アヤックス加入が報じられ、現在はまずコンディションの回復と実戦復帰を最優先にしている段階だ。
本人は来年3月に予定されている国際親善試合での日本代表復帰を一つの目標としており、森保一監督も10月の代表活動前の会見で「ワールドカップに間に合うと考えている」と期待を口にしている。もっとも、長期離脱明けという事情を踏まえれば、代表復帰の時期や起用法は慎重に見極められることになりそうだ。
他のディフェンス陣に目を向けると、DF町田浩樹がドイツ移籍後に膝の大怪我を負い、長期離脱を余儀なくされたほか、DF伊藤洋輝も度重なる負傷によって戦列を離れてきた。ただ、伊藤については復帰に向けた動きも見え始めており、最終的なコンディションが注目される。
こうした状況の中で存在感を高めているのが、DF渡辺剛やDF鈴木淳之介といった新戦力だ。10月14日の国際親善試合では強豪ブラジル代表を相手に結果を残し(3-2/東京スタジアム)、単なる「代役」にとどまらない可能性を示した。主力不在という非常事態が、結果的にDF陣の競争を一気に活性化させている。
さらに追い打ちをかける形となったのが、FW南野拓実の負傷だ。12月21日のフランス国内カップ戦で負傷し、長期離脱が避けられないと報じられている。W杯出場への道は厳しさを増しており、攻守のリンク役として機能し、パスの出し手にも受け手にもなれる存在を欠く影響は決して小さくない。
ゴールキーパーでは、GK鈴木彩艶も11月9日のセリエA第11節ミラン戦で左手を踏まれ骨折。復帰までに3~4か月を要するとされ、将来の正守護神候補だけに、復帰後のパフォーマンスと代表内序列は重要な判断材料となる。
“誰を選ぶか”以上に“誰を外すか”が難しい局面
第2次森保ジャパン発足後(2023年3月以降)に招集された選手は、延べ89人に上る。その中からW杯本大会の26枠(拡大の可能性あり)を選ぶ作業は、これまで以上に過酷だ。
前回のカタール大会では、DF吉田麻也(現ロサンゼルス・ギャラクシー)を中心とした安定した守備を武器に、16強進出を果たした。当時は「アタッカーやGKに不安がある」との声もあったが、堅守がそれを覆した形だ。しかし北中米大会では、DF陣の層の薄さがウイークポイントになる可能性も否定できない。
W杯メンバー発表を前に必ず話題となるのが“サプライズ選出”だが、森保ジャパンはこれまで、本大会直前の大抜擢をほとんど行ってこなかった。2002年日韓大会のFW中山雅史、2006年ドイツ大会のFW巻誠一郎、2010年南アフリカ大会のGK川口能活、2014年ブラジル大会のFW大久保嘉人といった例と比べても、森保体制下では、代表から遠ざかっていた選手が突然W杯メンバーに名を連ねる可能性は高くない。
一方で、“サプライズ落選”の前例は存在する。1998年フランス大会のFW三浦知良、2002年日韓大会のMF中村俊輔――。いずれも戦術的判断による選外だった。現在の日本代表は複数ポジションを高水準でこなせる選手が多く、単純な序列だけでは決めきれない。その意味で、森保監督にとっては「誰を選ぶか」以上に「誰を外すか」が難しい段階に入っている。
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