日本代表・海外組 日本代表

W杯イヤー2026に飛躍の兆し。期待の日本代表選手4選

上田綺世(左)鈴木淳之介(右)写真:Getty Images

FIFAワールドカップ北中米大会が開催される2026年は、日本代表にとって一つの完成形が問われる年になる。欧州主要リーグで経験を積んだ選手が増え、ポジション争いはかつてないほど熾烈だ。その中で「W杯イヤーに一段階上へ跳ねる選手」が現れるかどうかは、大会の成否を左右する重要な要素となる。

ここでは、すでに確かな実績を積み上げつつあり、2026年に向けてさらなる飛躍を予感させる日本代表選手として、FW上田綺世、FW中村敬斗、MF佐野海舟、DF鈴木淳之介の4人に注目する。所属クラブでの立場、戦術的役割、そしてW杯本大会で期待される役割を踏まえながら、それぞれの現在地を整理していきたい。


上田綺世 写真:Getty Images

上田綺世(フェイエノールト)

エールディヴィジ得点王争いを牽引。オランダ戦のキーマンへ

フェイエノールトに所属するFW上田綺世は、2025/26シーズンのエールディヴィジ第15節終了時点で18得点を記録し、得点ランキングで2位以下を大きく引き離す独走状態にある。オランダ屈指の名門で数字を残している点は、欧州内での評価を大きく押し上げている。

契約は2028年6月まで残っているが、仮に2027年夏に移籍する場合、残り契約が1年となるため移籍金の減額を迫られる可能性が高い。クラブが利益確定を優先するなら、2026年夏の売却も現実的な選択肢となるだろう。上田の市場価値は、まさに今が上昇局面にある。

北中米W杯で日本が同組となるオランダは最大のライバルと目されており、センターフォワードの事実上の1択となりつつある上田の存在感は際立つ。フィルジル・ファン・ダイク(リバプール)をはじめとする欧州主要リーグ組のDF陣を相手にどこまで通用するかは、W杯本大会のみならず、その後のキャリアをも左右する試金石となるだろう。


中村敬斗 写真:Getty Images

中村敬斗(スタッド・ランス)

2部での葛藤を越え、再びトップリーグへ

スタッド・ランスのFW中村敬斗は、2024/25シーズンにリーグ・アンでプレーしたものの、クラブの降格によりリーグ・ドゥ(フランス2部)での戦いを余儀なくされた。W杯直前の重要な時期に2部でプレーするリスクを避けるため移籍を模索したが、2028年まで契約を残すクラブはこれを容認しなかった。

現在、クラブは昇格争いの只中にあり、1年での1部復帰を目指している。仮に昇格を逃した場合、中村が2季連続で2部に留まる可能性も否定できない。一方で、主要リーグでのプレーを強く望む中村の意向を踏まえ、クラブが高額な移籍金を条件に放出を認める展開も考えられる。

個で局面を打開できるウイングとしての希少性は高く、日本代表でも代替の利きにくい存在だ。W杯イヤーにどの舞台でプレーしているかは、代表での序列にも影響するため、今季の去就は極めて重要になる。2部所属のまま来夏を迎えることになれば、W杯を契機にして未来を切り開こうと並々ならぬ意気込みで試合に臨むことだろう。

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名前Takuya Nagata
趣味:世界探訪、社会開発、モノづくり
好きなチーム:空想のチームや新種のスポーツが頭の中を駆け巡る。世界初のコンペティティブな混合フットボールPropulsive Football(PROBALL)を発表。

若干14歳で監督デビュー。ブラジルCFZ do Rioに留学し、日本有数のクラブの一員として欧州遠征。イングランドの大学の選手兼監督やスペインクラブのコーチ等を歴任。アカデミックな本から小説まで執筆するサッカー作家。必殺技は“捨て身”のカニばさみタックルで、ついたあだ名が「ナガタックル」。2010年W杯に向けて前線からのプレスを完成させようとしていた日本代表に対して「守備を厚くすべき」と論陣を張る。南アでフタを開けると岡田ジャパンは本職がMFの本田圭佑をワントップにすげて守りを固める戦術の大転換でベスト16に進出し、予言が的中。

宇宙カルチャー&エンターテインメント『The Space-Timer 0』、アートナレッジハブ『The Minimalist』等を企画。ラグビーもプレーし広くフットボールを比較研究。

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