
全国高校サッカー選手権大会は、47都道府県の代表校が全国の舞台で競い合う、高校サッカー最大のトーナメントだ。各地域の特色がぶつかり合うなかでも、関東地域は全国屈指の激戦区として知られ、毎年のように優勝候補が複数生まれる。高い技術力と戦術理解度を備えた学校が揃い、短期決戦で求められる勝負強さを兼ね備える点も特徴だ。
今年の第104回大会においても、関東予選を勝ち抜いた代表校には逸材が数多く名を連ね、Jクラブ内定者や過去大会で存在感を示した選手がそろう。ここでは、関東代表校の中から4校をピックアップし、その戦力と注目選手を紹介する。全国屈指の強豪が揃う関東地域が、今大会でどのようなドラマを生むのか注目したい。

昌平高校(埼玉県)
昌平高校は、埼玉県予選決勝で武南高等学校を後半アディショナルタイムの劇的なゴールで破り、2年ぶり7回目となる全国大会出場権を獲得した。均衡した展開が続く中で試合を決め切る姿勢は、近年の昌平が積み重ねてきた勝負強さを象徴している。
その決勝点を決めたのは、3年生MFの長璃喜。高校ユース年代でも高いドリブル突破能力と得点力を評価されてきたアタッカーで、ボールを受ける位置取りやワンタッチの技術にも優れる選手だ。2024年の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)決勝では2ゴール1アシストの大活躍で全国制覇に貢献。さらに2025年3月にはU-18日本代表にも選出され、全国的に注目される存在となった。
昌平高校は攻撃と守備のバランスに優れ、ボール保持と切り替えのスピードを兼ね備えるのが特徴だ。中盤のつなぎから攻撃のリズムを創り出し、相手の強度に応じて戦い方を柔軟に変えることができる。選手権でも初戦からゲームの流れをコントロールし、終盤の勝負どころで決定機を逃さずものにできるかが、上位進出の鍵となるだろう。

流通経済大学付属柏高校(千葉県)
全国大会常連の流通経済大学付属柏高校は、今年も千葉予選を勝ち抜き、2年連続9回目の選手権出場を決めた。強豪校らしい高い試合強度と球際での粘り、攻守の切り替えの速さが流経大柏の持ち味だ。日頃から強度の高いトレーニングを積んでおり、県大会ではその“粘り強さと集中力”が勝利に結びついたと言える。
攻撃の中心として注目されるのがFW大藤颯太だ。190cmの長身を生かした空中戦やフィジカルコンタクトが持ち味で、2025年の高円宮杯JFA U-18 サッカープレミアリーグEASTでは8得点を記録するなど、得点能力も高い。すでに東京ヴェルディへの加入が内定しており、その決定力と長身を活かしたプレーが大きな武器となるはずだ。
また、ジュビロ磐田への加入が内定しているDF増田大空にも注目したい。精度の高い左足のキックを武器に、サイドからのビルドアップやクロスで攻撃に厚みをもたらし、セットプレーからもチャンスを演出できる。守備面でも対人能力やポジショニングに優れ、攻守の両面で安定感を発揮する選手だ。選手権では、彼の左足から繰り出される攻撃参加と堅実な守備がチームを支えるだろう。
流経大柏は、2024年に準優勝で涙を飲んだ悔しさを胸に、再び全国の舞台に挑む。昨年の経験を活かし、組織的な守備と迫力ある攻撃で勝ち進む戦いが期待される。
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