Jリーグ

J1全クラブ監督通信簿&続投可能性【2025シーズン総括】

長谷部茂利監督 写真:Getty Images

川崎フロンターレ:長谷部茂利監督

評価:★★☆☆☆/続投可能性:90%

争奪戦の末、長谷部茂利氏を新監督に迎えた川崎だったが、期待を裏切る低迷に陥った2025シーズンとなった。シーズン前にDF高井幸大がトッテナム・ホットスパー(イングランド)へ、DF大南拓磨がOHルーヴェン(ベルギー)へ完全移籍。夏の移籍期間には新エースのFW山田新もセルティック(スコットランド)に完全移籍した。川崎は毎シーズンのように有力若手が海外へ渡る育成型クラブだが、さすがに今季は戦力不足に陥り、長谷部監督にとっては試練となった。

ACLエリート決勝に進出し、準優勝で400万ドル(約5億8,000万円)を得たものの、過密日程にも悩まされた。それでもリーグ戦では得点力を維持し、下位に沈むことはなかったのは監督の手腕によるものだ。しかし、J2時代を知るサポーターが辛抱強く見守る一方で、J1連覇(2017、2018)を知る“強いフロンターレ”しか知らないサポーターの不満は頂点に達し、「長谷部辞めろ」のブーイングも飛んだ。

さすがに1年で見切りをつける可能性はほぼ無いだろうが、クラブは補強を約束し、来季の巻き返しを託す構えだろう。


大島秀夫監督 写真:Getty Images

横浜F・マリノス:大島秀夫監督

評価:★★★★☆/続投可能性:70%

横浜FMは今2025シーズン、スティーブ・ホランド監督、パトリック・キスノーボ監督の2度の解任、FWアンデルソン・ロペス、FWエウベル、FWヤン・マテウスの移籍、さらに親会社・日産自動車の経営不振と身売り騒動に揺れるなど、多くの混乱を抱えていた。第24節まで最下位に沈み、他クラブのサポーターからは“降格確定”と思われていたが、6月24日にOBの大島秀夫ヘッドコーチが監督に昇格すると、チームはV字回復。8勝2分け6敗で一気に降格圏を脱出し、第36節の京都戦(サンガスタジアム by KYOCERA/3-0)で奇跡的なJ1残留を決めた。

途中加入のFW谷村海那やMFジョルディ・クルークスの活躍も大きかったが、大島監督の手腕は見逃せない。クラブ財政の厳しさは続くものの、シティ・フットボール・グループ(CFG)とのコネクションが途絶えたことで、引き続き窮地を救った同監督にチームを託す可能性は十分ある。戦力的混乱を招いた西野努SD(スポーティングダイレクター)の退任もポジティブに捉えたい。


三浦文丈監督 写真:Getty Images

横浜FC:三浦文丈監督

評価:★☆☆☆☆/続投可能性:0%

11月9日にJ2降格が決まったことで、11月13日に三浦文丈監督の契約満了を発表した横浜FC。第19節から7連敗を喫し、7月23日に四方田修平監督を解任。ヘッドコーチから昇格したもののチームを立て直せず、第20節以降、一度も降格圏から脱することはできなかった。

既に注目は次期監督に移っている。日本サッカー界のレジェンドでクラブOBの中村俊輔コーチが昇格する可能性はあるのか。就任2年の田端秀規GMは思い切った決断ができるか。さらに田端GM自身の処遇も注目される。主力選手をどれだけ引き留められるかも重要な課題だ。

未確定要素は多いが、降格のたびにひと皮むけ、不死鳥のごとくJ1へ舞い戻ってきた横浜FCである。新体制の下、J2で圧倒的な強さを見せる姿をファンは期待していることだろう。


山口智監督 写真:Getty Images

湘南ベルマーレ:山口智監督

評価:★☆☆☆☆/続投可能性:0%

2021シーズン途中から湘南を率いた山口智監督。毎年のように主力選手が引き抜かれるチームながらもしぶとく残留してきたが、2025シーズンは第16節から第35節まで19戦未勝利でJ2降格が決まり、クラブは最終節を待たずに今季限りの退任を発表した。

2018年にオーナー企業となったRIZAPグループは「年間10億円の投資」を約束したが、サポーターからすれば「あの話はどうなったのか」と感じるほど、毎年「主力選手移籍→若手成長→また移籍」が繰り返され、山口監督には不運な面もあった。

次期監督にはRB大宮アルディージャ前監督、長沢徹氏が有力と報じられている。長沢氏は2024シーズン、J3に降格した大宮で就任初年度にJ2昇格を果たし、ジュビロ磐田(2013)やファジアーノ岡山(2015-2018)でも監督経験があり、育成年代の指導実績も豊富だ。若手育成と昇格という目標を同時に達成できる可能性があるが、そのためにはまず強化体制の一新が必要だろう。


入江徹監督 写真:Getty Images

アルビレックス新潟:入江徹監督

評価:★☆☆☆☆/続投可能性:0%

プロ初采配がいきなりJ1クラブという大抜擢で就任した樹森大介前監督だったが、2025シーズン開幕8試合未勝利のまま低空飛行が続き、6月23日にJ1最速解任となった。入江徹監督がヘッドコーチから昇格したものの、一度も降格圏を脱することはできず、10月25日にJ2降格が決定。樹森前監督は8月に再就職先(栃木SCコーチ)を見つけた一方、新潟は11月13日に入江監督の退任を発表した。

後任には、前U-20日本代表でクラブOB(2002-2006)の船越優蔵氏が有力と報じられている。今季、主将を務めたDF堀米悠斗や、チームのムードメーカーであった40歳のDF千葉和彦の契約満了も発表され、新潟では大幅な選手入れ替えが予想される。この選択が凶と出れば“J2沼”にハマる危険性もあり、強化体制の真価が問われるオフとなるだろう。


秋葉忠宏監督 写真:Getty Images

清水エスパルス:秋葉忠宏監督

評価:★★★☆☆/続投可能性:80%

J1復帰初年度で「10位以内」を目標に掲げた秋葉忠宏監督だったが、目標には届かなかった。しかし、一度も降格圏に落ちることなく、10月25日にJ1残留を確定させた。サポーターからの支持も厚く、本拠地の観客動員がそれを裏付けている。

若手を積極的に起用する一方、11月9日のセレッソ大阪戦(IAIスタジアム日本平/1-4)では、高卒ルーキーのMF嶋本悠大と23歳のDF高木践の低調なパフォーマンスに激怒し、前半27分で交代させる鬼采配を見せた。これに対し「メンバー選びを間違えた監督の責任」との声も上がったが、秋葉監督はこうした反応も覚悟の上でプロとして徹した。主力選手の高齢化は気になるものの、補強次第で来季は上位進出を狙える体制が整うだろう。


長谷川健太監督 写真:Getty Images

名古屋グランパス:長谷川健太監督

評価:★☆☆☆☆/続投可能性:0%

11月12日に退任が発表された長谷川健太監督。しかし、サポーターからは「遅すぎる」との声も上がった。2024シーズンから既に交代論が大勢を占めていた中、ルヴァン杯制覇によって“延命”した形となったが、結果的には直近2シーズンは2桁順位。清水克洋社長が目標としたACLエリート出場権獲得どころか、J1残留がやっとという状況だった。ポジティブな側面を挙げるとすれば、相次ぐケガ人により若手選手の成長が促された点だろう。

ほぼ同時に、山口素弘GM、古矢武士強化部長の退任も発表され、来季はクラブOBの中村直志アカデミーダイレクターが強化部長に昇格することが決まっている名古屋。早速、デンマーク人FWキャスパー・ユンカーの退団も発表されたが、一気に刷新される強化体制の下、後任にはサンフレッチェ広島(2006-2011)、浦和(2012-2017)、北海道コンサドーレ札幌(2018-2024)で指揮を執ったミハイロ・ペトロヴィッチ監督の名前が報じられている。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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