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バロンドールは誰が決めているのか? 毎年論争を呼ぶ世界最高の個人賞の裏側

ロドリ 写真:Getty Images

なぜ毎年論争が起きるのか

2024年のロドリ受賞時には、本命視されていたブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールが受賞を逃したことで波紋を呼んだ。

当時レアル・マドリードを率いていたカルロ・アンチェロッティ監督(現ブラジル代表監督)は「この決定は理解しがたい」と発言し、クラブが授賞式をボイコットする事態に発展。ネイマールもSNS上で「ヴィニシウスが5位?冗談だろ」と皮肉を投稿した。

翌2025年も、ウスマン・デンベレ受賞に抗議する形でレアル勢のほとんどが授賞式を欠席している。レアルからはキリアン・ムバッペ、ジュード・ベリンガム、ヴィニシウス・ジュニオールの3人がノミネートされていた。

こうした論争の根底には、「主観」と「印象」が入り混じる選考構造がある。2022年からは透明性を高めるため投票詳細が公開されるようになったが、“好み”や“地域的関心”が反映されることは避けられない。


ルカ・モドリッチ 写真:Getty Images

地域偏重と公平性の壁

過去10年間でトップ3入りしたクラブをリーグ別に見ると、スペイン10回(ラ・リーガ)とフランス5回(リーグ・アン)、イングランド5回(プレミアリーグ)が圧倒的多数を占める。ドイツ(ブンデスリーガ)やイタリア(セリエA勢)は1回ずつと極端に少なく、世界的な視聴機会やメディア露出の格差が結果に影響しているとの指摘もある。

記者投票であるとはいえ、あまりにも偏っていると感じさせる。記者がどのリーグを中心に視聴・取材しているかという「環境要因」も見逃せない要素だ。


それでも、サッカーの象徴であり続ける

バロンドールは、サッカー界最高の栄誉であると同時に、客観性と主観性がせめぎ合う“永遠の論争”でもある。しかし、その議論こそがサッカーというスポーツの魅力、情熱の象徴を映し出しているのではないだろうか。

選考制度の進化が、より透明で健全な評価をもたらすことを願いつつ、「もし自分に投票権があったら誰に入れるか」を想像しながら楽しむのがこの賞の真の醍醐味なのだろう。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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