
2024シーズンのFC東京は、鹿島アントラーズから期限付きで加入していたMF荒木遼太郎や、昨季限りで現役を引退したFWディエゴ・オリヴェイラの活躍もあり、最終的に7位でシーズンを終えた。今季は新指揮官として、昨年までアルビレックス新潟を率いた松橋力蔵氏を招聘し一層の飛躍を狙った。しかしここまでは思うように結果を伸ばせず、11位と二桁順位に甘んじている。
シーズン終盤戦に入って以降チーム状態は上向き傾向にあり、第29節からは今季初の3連勝を挙げるなどひとまず降格の危機は去った。とはいえ、来季以降に向けての戦い方や戦力面において見直しが必要なのは間違いない。
そこで注目されるのが、今季他クラブへ期限付きという形で武者修行に出ている選手たちの去就だ。現在の所属先やあるいは代表活動で結果を出している選手もおり、帰還となれば戦力アップに直結する可能性も大いにある。ここでは、特に今季移籍先で活躍している選手を3名紹介していく。

佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)
現在、FC東京から他クラブへ期限付き移籍している選手の中だけでなく、国内の若手選手全体で見ても一際光り輝く選手がいる。今季がJ1初挑戦となるファジアーノ岡山へ武者修行中のMF佐藤龍之介だ。昨季のFC東京ではリーグ戦3試合の出場に留まったが、今季はJ1の舞台でシーズン序盤から両サイドでの出場機会を得るなど、ここまで25試合に出場。チームトップの6ゴールを挙げる活躍を見せている。
佐藤の活躍はJリーグのみに留まらない。常連だった世代別代表での活躍はもちろん、今年6月には2026FIFAワールドカップアジア最終予選のインドネシア戦で代表デビュー。7月に行われたEAFF E-1選手権では3試合すべてに出場し、日本の優勝にも貢献している。19歳とまだ若い佐藤にとっては、まさに飛躍のシーズンと言えるだろう。
守備では強度の高さが売り。サイドでの1対1では、果敢にボールへアプローチし相手のチャンスの目を摘み取れる。さらに、持ち味である攻撃面では細かなステップのドリブルを武器とし、かつシュート精度も高い。記憶に新しい第34節のセレッソ大阪戦では、カットインから狙いすました見事なシュートでゴールを奪っている。
佐藤が主戦場としている両サイドは、所属元のFC東京で言うと今季はMF俵積田晃太やMF遠藤渓太、FW野澤零温にFW佐藤恵允と複数の選手が起用されており、激しいポジション争いが行われている。今の陣容を保ったまま佐藤が今冬FC東京へ帰還するのであれば、必然的にポジション争いは一層激化するに違いない。いずれにしても、岡山とFC東京の両サポーターを中心に、この冬の動きが注目される選手の1人であることは間違いない。
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