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文学・神話・宇宙…オランダサッカー“珍名クラブ”の深い由来

NACブレダ 写真:Getty Images

NACブレダ(NAC Breda)

「諦めない」と「楽しむ」を融合した、スローガン系クラブ名

オランダ南部ブレダを拠点とするNACブレダは、1912年の設立時、2つのクラブ「NOAD」と「ADVENDO」の合併によって誕生した。一見するとオーナー企業名かスポンサー名のように思えるが、全く趣は異なる。

  • NOAD:Nooit Opgeven Altijd Doorgaan=決して諦めず、常に前進
  • ADVENDO:Aangenaam Door Vermaak En Nuttig Door Ontspanning=娯楽で楽しく、リラクゼーションで有益に

合併後、「NOAD ADVENDO Combinatie」の頭文字を取り「NAC」と名付けられ、1998年にNACブレダとなった。諦めない精神と楽しさを融合させた理念は、現在もクラブの個性として生き続けている。「南の真珠(De Parel van het Zuiden)」という愛称も、ファンに親しまれている。


SCテルスター 写真:Getty Images

SCテルスター(SC Telstar)

通信衛星にちなんだ、時代の最先端を走ったクラブ

アムステルダム郊外フェルセンを拠点とするSCテルスターは、1963年に「ストームフォーゲルス」と「VSV」の合併により誕生した。クラブ名の「テルスター」は、1962年に打ち上げられた世界初の通信衛星「テルスター」に由来する。

この命名には、宇宙開発の最先端という時代性と、「フェルセンの地から世界へ」というクラブの願いが込められている。人工衛星によるテレビ中継で世界中がつながる時代の象徴でもあり、プロ化に向けた革新的なイメージを強調するために採用された。

また、人工衛星によってW杯を世界中でテレビ観戦できるようになった時代の到来を告げる「星」という意味合いからネーミングされたという説もある。この命名は、時代の最先端の出来事をクラブ名に取り入れるという斬新な方法で行われた。

2024/25シーズンには昇格プレーオフを勝ち抜き、1977/78シーズン以来47年ぶりにエールディビジ復帰を果たしている。


まとめ

これら4クラブの名前の由来は、イギリス文学、ギリシャ神話、クラブのスローガン、宇宙開発と多岐にわたる。オランダサッカーのクラブ名には、単なる呼称を超えた“文化と歴史の物語”が息づいているのだ。

他にも、ラテン語で「より高く」を意味するエクセルシオール・ロッテルダムや、古代ギリシャの都市国家を冠したスパルタ・ロッテルダムなど、多様な背景を持つクラブが存在する。こうしたネーミングの多様性は、オランダが長年にわたり異文化や個性を受け入れてきた国柄を映している。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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