
2025明治安田J2リーグは残り7試合となり、佳境を迎えている。上位2クラブに与えられるJ1自動昇格枠をめぐり、現在首位に立つのは26年連続でJ2に在籍し、同リーグ最多在籍記録を保持する水戸ホーリーホック(勝ち点58、得失点差+19)。2位には8シーズンぶり2度目のJ1復帰を狙うV・ファーレン長崎(勝ち点56、得失点差+9)、3位には17年ぶりのJ1昇格を目指すジェフユナイテッド千葉(勝ち点55、得失点差+14)が続く。さらに4位にはベガルタ仙台(勝ち点54、得失点差+11)がつけており、自動昇格争いはこの上位4クラブに絞られつつある。
一方で、年間順位3位から6位までの4クラブが挑むJ1昇格プレーオフ争いからも目が離せない。現在6位のRB大宮アルディージャ(勝ち点50、得失点差+14)を軸に、わずか勝ち点差7の10位北海道コンサドーレ札幌(勝ち点43、得失点差-15)まで、まだ十分にプレーオフ進出の可能性を残している状況だ。
ここでは、今シーズンのJ2トップ10クラブについて最終順位を予想していく。

10位:北海道コンサドーレ札幌
- 到達予想勝ち点:60
- 残試合の予想戦績:5勝2分
- 残試合の予想結果:◯山形(H)、◯富山(A)、△水戸(H)、◯千葉(A)、◯大分(H)、△今治(A)、◯愛媛(H)
10位には後半戦で大きく勝ち点を伸ばしている北海道コンサドーレ札幌を挙げる。第26節に岩政大樹氏から柴田慎吾氏へと監督交代を行った札幌。以降、3勝3敗とまずまずの成績を収めているが、最近は良い時と悪い時のムラが大きい印象だ。
良い時の札幌は、MF長谷川竜也やFW白井陽斗など前線の選手によるプレスや相手の背後を取る動きでゴールに迫る場面が多いほか、複数選手が絡んだ流動的な攻撃で相手守備陣の手を焼かせている。対称的に悪い時の札幌は、背後のスペースを突かれた後のショートカウンターやこぼれ球、セットプレー時の守備の寄せが緩いことが失点の主要因となっている印象だ。また、一度ビハインドになると、最終ラインを低く設定した相手を中々崩すことが出来ずにフラストレーションを溜めてしまい、ビルドアップミスから大量失点を喫する試合が幾度となくあった。
しかし、先制さえできれば攻守において歯車が嚙み合い勝利に大きく前進している。そのため、残り7試合はいかに先制点を奪えるかが逆転昇格のカギとなりそうだ。

9位:FC今治
- 到達予想勝ち点:60
- 残試合の予想戦績:3勝4分
- 残試合の予想結果:△徳島(A)、◯山口(H)、△長崎(A)、△仙台(H)、◯山形(A)、△札幌(H)、◯千葉(A)
9位にはJ2昇格初年度ながら大躍進を見せているFC今治を予想する。開幕戦こそブラウブリッツ秋田に0-1で敗れるも、第2節の藤枝MYFC戦(0-0)から第14節のロアッソ熊本戦(1-0)まで驚異の13試合負けなしを記録し、順位も一時的に3位に浮上していた。
直近もジュビロ磐田、RB大宮アルディージャ、サガン鳥栖と難敵との3連戦を2勝1分と負けなしで乗り切っており、調子は右肩上がりといえそうだ。躍進の要因として、数多くのビッグセーブを見せてきたGK立川小太郎や守備の要であるDF大森理生、現在チリで開催されているFIFA U-20ワールドカップにも選出されているMF横山夢樹、現在13ゴールでJ2得点ランキング3位のFWマルクス・ヴィニシウスらの台頭が大きいだろう。
残り7試合のうち5試合は自動昇格やJ1プレーオフを争う上位チームとの対戦が待っており、厳しい戦いが予想される。逆転でプレーオフに進出するためには、第34節の長崎、第35節の仙台、最終節の千葉との戦績が重要なポイントになりそうだ。

8位:徳島ヴォルティス
- 到達予想勝ち点:60
- 残試合の予想戦績:2勝3分2敗
- 残試合の予想結果:△今治(H)、×磐田(A)、◯いわき(H)、△鳥栖(A)、◯甲府(H)、△大宮(A)、×長崎(H)
現在5位でリーグ最小失点数「20」を誇る徳島ヴォルティス。総得点数はリーグワースト5位となる「33」だが、それを上回る堅守で勝ち点を積み上げ、第11節から第30節までプレーオフ圏内に位置していた。しかし、9月に行われた第29節の熊本戦(1-2)、第30節の札幌戦(1-2)と下位相手に手痛い連敗を喫し、さらにはクリーンシートを収める試合が少なく、失点が嵩む試合が増えている印象だ。
そんな中、右ハムストリングスの肉離れで全治8週間と言われていたFWルーカス・バルセロスがわずか5週間で復帰。第30節の札幌戦でゴールを挙げるなどコンディションも上々だ。DF山田奈央、DF山越康平、DF青木駿人らが構成する盤石の3バックに再び磨きが掛かっており、鳥栖や長崎など上位陣との直接対決に勝利出来れば、プレーオフ進出も十分に狙えるはずだ。

7位:サガン鳥栖
- 到達予想勝ち点:61
- 残試合の予想戦績:3勝2分2敗
- 残試合の予想結果:◯山口(A)、△秋田(H)、×仙台(A)、△徳島(H)、◯富山(A)、◯藤枝(A)、×磐田(H)
今シーズン、14年ぶりにJ2で戦っているサガン鳥栖は7位と予想する。シーズン序盤こそ開幕3連敗に加え4試合勝ちなしと出鼻をくじかれたが、小菊昭雄新監督の下でチームを建て直し「つなぐサッカー」を確立。周りの選手と連動したパスワークで相手のプレスを剥がす姿は、観客席のファンやサポーターを楽しませてくれた。
なかでもサイドを主戦場とするMF新井晴樹は攻撃のキーマンだ。負けん気が強いドリブルで幾度となくチャンスメイクする姿が人々の心を掴んでいることだろう。守備でもGK泉森涼太の安定したセービングやDF小川大空、DF今津佑太、DF井上太聖が構築する3バックは強固である。
ここにきて直近5試合で10失点と守備が乱れ始めているが、今シーズン26試合5ゴールと彗星のごとく現れた18歳のFW新川志音や直近3試合3ゴールとノリにノっているMF西川潤など、若手選手が目に見える結果を残していることは心強い。不安材料である守備を早急に改善すれば、逆転でのJ1自動昇格の道が開くだろう。

6位:RB大宮アルディージャ
- 到達予想勝ち点:62
- 残試合の予想戦績:3勝3分1敗
- 残試合の予想結果:×仙台(A)、△藤枝(H)、◯山形(A)、△秋田(H)、◯水戸(A)、△徳島(H)、◯山口(A)
6位には今シーズン2年ぶりにJ2の舞台に帰ってきたRB大宮アルディージャを予想。開幕4連勝とシーズン序盤から最高のスタートを切り、10勝6分3敗と自動昇格圏内を狙える高位置で前半クールを折り返した。しかし大宮へのマークが厳しくなった後半は、第31節を終えて4勝2分6敗とやや足踏みをしている印象だ。
さらに不安材料がもう一点。ここまで大宮の守備を統率していたDF市原吏音が、U-20W杯参加のため第29節の長崎戦を最後に最大1カ月チームを離脱するのだ。現に市原を欠いた直近2試合は1勝1敗ながらも総失点数が「6」と守備が乱れていることが気がかり。
そんな中、キーマンとなりそうなのが、ここ2試合で市原の代役を務めているDF福井啓太である。プロ1年目の福井は筑波大学4年時に主将を務めていたこともあり、最終ラインからチームを統率。福井の武器である球際の強さで第32節で対戦する仙台の攻撃陣を封じ込めたいところ。
もし仙台に勝利し、第36節の水戸戦や第37節の徳島ヴォルティスとの直接対決も白星で収められれば、一気に自動昇格圏内に駆け込むことも考えられるだろう。
コメントランキング