Jリーグ

2025戦国J2リーグ。悲願のJ1昇格を果たすのはどのクラブか

ベガルタ仙台 写真:Getty Images

ベガルタ仙台

攻撃力の強化が急務

仙台はクラブ史上3度目となるJ2リーグ(1999-2001、2004-2009、2022-現在)を戦っている。7月時点で失点21はリーグ2位の堅守を誇るが、得点は28とやや物足りず、攻撃面の強化が急務だ。

守護神の元日本代表GK林彰洋を含む守備陣は安定しており、DF井上詩音、DF菅田真啓が守備の柱となっている。攻撃陣ではFW郷家友太がチーム最多の6得点を挙げているものの、決定力不足が課題となっている。

前半戦はホームのユアテックスタジアム仙台が芝の全面張り替えのため使用できず、キューアンドエースタジアムみやぎでの代替開催を強いられた影響で、ホームゲームの勝率は約30%にとどまった。しかし、ユアスタ(ユアテックスタジアム仙台)での後半戦再開により巻き返しが期待される。

サマーブレイク明けの第24節長崎戦(8月2日)、第25節徳島戦(8月10日)は攻撃力強化の試金石となる重要な一戦であり、夏の移籍市場での新戦力加入にも期待がかかる。


サガン鳥栖 写真:Getty Images

サガン鳥栖

1年でのJ1復帰へ、強力中盤を武器に昇格争いを勝ち抜く

2024シーズンにJ1から降格し、J2で戦っている鳥栖は、1年でのJ1復帰が現実味を帯びてきている。チームの最大の強みは、J1クラブにも劣らないクオリティの中盤の構成力だ。MF櫻井辰徳やMF西矢健人が攻守にわたって広範囲をカバーし、攻撃的MFの西澤健太はトップ下として、またMF西川潤はボランチやインサイドハーフとして多彩な役割をこなしている。前線にはFW山田寛人が控え、彼ら中盤と最前線が心臓部として安定感をもたらしている。

ただし、25得点という総得点数は、上位陣の中ではやや物足りず、フィニッシュの精度向上が求められている。これまで勝ち点を伸ばし切れなかった試合も散見され、特に僅差の試合をものにするためには、サイド攻撃の活性化や多彩な得点パターンの確立が鍵となるだろう。

シーズン序盤は、小菊昭雄新監督のもと、新戦力のフィットに時間を要したが、夏を迎えて連携は成熟しつつある。経営的にも以前の困難から改善の兆しが見え、クラブ全体が一丸となってJ1復帰を目指している。これからの連戦は正念場であり、強力な中盤を軸に勝ち点を積み上げ、昇格争いをリードすることができるかが見どころだ。


RB大宮アルディージャ 写真:Getty Images

RB大宮アルディージャ

堅守を活かし、夢の2年連続昇格へ

レッドブルグループ傘下として事実上の初年度シーズンを迎えた大宮は、7月12日時点でJ1昇格プレーオフ圏内の5位(10勝8分5敗、勝ち点38)につけ、2年連続昇格でのJ1復帰を虎視眈々と狙っている。

最大の武器は、リーグ屈指の堅守だ。総失点21は上位5チーム中2位タイの数字を誇る。

一方、攻撃面では32得点とやや得点力に課題があり、FW豊川雄太、FW藤井 一志(ともに5ゴール)がチームの得点源だが、彼らに続く得点者のさらなる台頭が求められる。中盤戦以降、レギュラーポジションを奪取したブラジル人FWカプリーニ(4ゴール)の爆発が今後の鍵となるだろう。

6月21日の鳥栖戦ではスコアレスドローに終わるなど、堅守を軸にしながらも勝ち切れない試合もある。これを打破すべく、若手の積極起用や戦術の調整が進められており、夏の連戦を乗り切るために新戦力の台頭も期待されている。

まずは、8月2日のアウェイでの富山戦は、後半戦の勢いを占う重要な一戦だ。堅守を基盤に攻撃の鋭さを加え、自動昇格圏入りを狙いたい。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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