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2046年W杯、決勝戦の地はジャカルタ?21年後の経済力から予測

インドネシアの国旗 写真:Getty Images

インドネシアの台頭とジャカルタを中心としたW杯開催の展望

ここで東南アジアに目を向けると、インドネシアの人口は国連の予測によると、2024年の約2億7,900万人から2046年には約3億人に増加するとされている。平均年齢も30歳から約33歳と若く、首都ジャカルタの人口は約1,100万人から2046年には約1,400万人に増加が見込まれている。ジャカルタ国際スタジアムは開閉式屋根を備え約8万2,000人収容、同市内のゲロラ・ブン・カルノ・スタジアムも約7万7,000人の収容能力を誇る。

インドネシアは豊富な天然資源、巨大な内需、若年層中心の人口構成、ASEANにおける重要な地位を背景に、持続的な経済成長と国際的な地位向上が期待されている。世界第4位の人口規模を持ち、若い労働力が今後の経済発展の大きな強みとなる。GDPはASEAN最大であり、平均経済成長率はおよそ5%で安定している。さらに2050年にはASEAN全体が世界第4位の経済圏となる予測があり、インドネシアはその中核として高い成長ポテンシャルを評価されている(出典:アジア開発銀行)。

ASEANのリーダーとして年々存在感を向上させており、2046年大会が決まれば、首都のジャカルタは経済成長と若い労働力を背景に、FIFA基準のスタジアム整備を主導できるだろう。


候補各国のGDPと一人当たりGDP予測

2024年の名目GDPは、IMFによると中国が約18兆7,000億ドル、日本が約4兆2,000億ドル、韓国が約1兆8,000億ドル、オーストラリアが約1兆7,000億ドル、インドネシアが約1兆4,000億ドルとなっている。2046年には中国が30兆ドル超で世界トップを維持する一方、インドネシアは約5兆ドルに達し、世界の上位5位以内に成長すると予測されている。日本は5位前後、韓国とオーストラリアは10位前後に位置するとされる(出典:PwC「2050年の世界」)。

一人当たりGDPの予測では、オーストラリアが約7万ドル、日本が約4万ドル、韓国が約5万ドル、中国が約2万5,000ドル、インドネシアは約1万ドルと見込まれている。インドネシアは人口規模の大きさを活かしGDPを牽引し、首都ジャカルタは経済ハブとして国際的な投資を集める都市となる見込みだ。

候補各国の貿易収支、外貨準備高、経済成長率

中国は2024年の貿易黒字6,000億ドルを2046年も5,000億ドル以上で何とか維持、外貨準備高は3兆ドル超。日本の貿易収支は赤字(マイナス1兆円)から均衡へ、外貨準備高は1兆3,000億ドル。韓国は黒字500億ドル、外貨準備高4,000億ドル。インドネシアは資源輸出で黒字300億ドル、外貨準備高は2,000億ドルから3,000億ドルへ増加。オーストラリアは黒字600億ドル、外貨準備高1,000億ドルと予測される。日本の外貨準備高の高さは為替介入への備えという側面があり一概に比較できないが、インドネシアの外貨準備高の増加はジャカルタのインフラ投資を支える。

経済成長率については、インドネシアが2046年まで年平均5~6%の成長を維持し、中国は3~4%、オーストラリアは2~3%、日本と韓国は1~2%で推移するとされる(出典:PwC)。ジャカルタはインドネシアの成長を牽引し、W杯開催の資金調達を可能にするだろう。


2046年W杯は、人口や経済力ともに減退傾向にある日本、韓国、中国などは補助的役割で共催を支え、インドネシアのジャカルタが中心都市となる可能性が高いだろう。しかしながら、共催の成功にはこれら全ての国際的信頼の強化と各国の連携が不可欠であることは言うまでもない。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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