
攻撃配置の整備は急務
ウイングバックの立ち位置を含む攻撃配置の悪さこそ、湘南の積年の課題である。清水戦では左ウイングバック石橋の高すぎる立ち位置の修正が遅かっただけでなく、MF鈴木雄斗(右ウイングバック)が自陣後方タッチライン際でボールを受けることで、パス回しが手詰まりになる場面も散見された。

ウイングバックがタッチライン際かつ低すぎる位置(味方センターバックとほぼ同列の位置)でボールを受けた場合、自身の傍にはタッチラインがあるため、図2のようにパスコースが必然的に180度方向に限られる。これに加えウイングバック自身が相手選手の寄せを浴びれば、その後のパスやドリブルの成功率は極めて低くなる。この問題は2023シーズンから起きており、同年のJ1リーグ第7節から21節の15試合で5分け10敗と、湘南は1勝も挙げられず。また、2024シーズン開幕節から第11節までの計11試合でわずか1勝と、同クラブは2年続けて極度の成績不振に陥っている。今シーズンも同じ問題が起きている現状を、就任5年目の山口智監督はもちろんのこと、同監督を支えるコーチングスタッフも厳粛に受け止めるべきだ。
ウイングバックを低い位置に立たせてパスを回したいのであれば、2024シーズンのJ1リーグ第24節ガンバ大阪戦のように、鈴木雄斗と3センターバックの計4人がペナルティエリアの横幅に収まる立ち位置をとるのが望ましい。この試合の決勝ゴール(後半38分)が生まれる直前、湘南は鈴木淳之介、キム・ミンテ、髙橋直也、鈴木雄斗の4人が自陣後方で横並びとなり、4バックに近い配置でビルドアップ開始。一時的に4バックの右サイドバックと化した鈴木雄斗がボールを運んだことで、湘南はチャンスを迎えた。

4バックが横並びになってビルドアップを始めた場合、サイドバックがタッチライン際に追い詰められてボールを奪われやすくなるが、この場面では湘南4バックがペナルティエリアの横幅に概ね収まる立ち位置をとったため、左右どちらにもパスを散らせる状態に(図3)。鈴木雄斗がタッチライン際ではなくその内側でボールを保持したことで、G大阪陣営としてはパスコースの限定やプレスのかけ始めの判断が難しい状況になった。
先述のG大阪戦のゴールシーンでは鈴木雄斗が自陣からボールを運び、敵陣右サイドのタッチライン際に立っていたMF池田昌生へパスを送る。その後池田、MF田中聡、FWルキアン、FW福田翔生の順で小気味よくパスが繋がると、福田が逆サイドのDF畑大雅へボールを渡す。このラストパスを受けた畑がペナルティエリア左隅あたりからダイレクトシュートを放ち、これがゴールマウスに吸い込まれた。
湘南の攻撃を牽引し続けた福田、畑、鈴木淳之介が今夏に海外移籍。選手の個人スキルや即興に依存しない攻撃パターンの構築が急務であり、この一環として山口監督は昨年のG大阪戦の攻撃配置を自軍に浸透させるべきだ。
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