その他 代表チーム

イロレーティングはFIFAランキングとどう違う?日本代表は14位

カタールW杯 日本代表 写真:Getty Images

試合ごとに即時更新のイロレーティング

イロレーティングとFIFAランキングの最も大きい違いは、その更新頻度である。

FIFAランキングは基本「月1度」の更新としているが、実際は2~3か月に1度程度で、今回の更新も2024年12月19日以来となった。次回の更新は7月10日に予定されている。

一方、イロレーティングは試合ごとに即時に更新される。世界のどこかで国際Aマッチが開催されれば即、変動が起きる。そのため、最新の強さがすぐに反映される。

また、FIFAランキングでは過去4年間の国際親善試合やW杯本大会、大陸別大会などでポイントの重みが異なり、大陸間の強さの格差も考慮される。しかしイロレーティングでは基本的に試合結果とレーティング差が重要で、試合の種類による補正はK値で多少調整されるものの、最小限に留まる。

FIFAランキングが政治的・組織的な用途を意識し、公平性と透明性が重視される一方で、イロレーティングはあくまで“そのチームの強さ”によりフォーカスしていると言える。

2022年のカタールW杯直前、FIFAランキングで日本は24位だった。一方、イロレーティングでは20位だった。ドイツやスペインを破った後、イロレーティングでは15位にまで急上昇したが、FIFAランキングでは20位に留まった。

これはドイツとスペインを破ったものの、コスタリカに敗れたことで、ポイントが思ったほど上積みされなかったことが要因だった。FIFAランキングが過去4年間の安定した成績を重視し、親善試合やアジア勢同士の試合を軽く扱っているのに対し、イロレーティングはW杯での大番狂わせを即座に反映し、対戦相手の強さ(ドイツ、スペイン)が高ポイントに直結したのである。


FIFA 写真:Getty Images

双方のメリット、デメリット

1993年に導入され、2018年から「SUM式」と呼ばれる計算方法が採用されているFIFAランキング。日本は対戦相手の強さなどを全く勘案しない計算式だった1998年当時のFIFAランキングでは史上最高9位に入ったこともあるが、現行の計算式で1桁順位に入るには、欧州や南米強豪国との国際Aマッチを数多く組み、かつ勝利しなければならない。アジアではレベルの違いを見せ付けても、なかなかFIFAランキングに反映されないのは、ここに原因がある。

FIFAランキングのメリットとしては、長期的な視点で算出されていることで公平さが担保されていることだろう。一方、最新の調子が反映されにくく、計算が複雑過ぎる。

その点、イロレーティングはシンプルで、現在の強さが明確に示され、試合ごとの影響が分かりやすい。一方、安定性に欠け、短期的な調子の波に左右されやすい側面がある。

FIFAランキングが公式な基準としてW杯本大会のポッド分けに影響する以上、それに従うしかないのだが、イロレーティングは「チームの現在地」を知ることが出来る貴重な物差しとなっている。“どちらが正しいのか”という問いの答えとしては、使い方次第としか言いようがないが、日本代表の強さを多角的に見るなら両方参考にするのも面白いだろう。

ページ 2 / 2

名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

筆者記事一覧