Jリーグ 湘南ベルマーレ

湘南ベルマーレ、低迷期の悪癖がちらほら。今季初黒星のヴィッセル神戸戦を検証

エリキ 写真:Getty Images

勿体なかった2失点目

湘南のセットプレー以外の守備は概ね破綻が無かっただけに、前半37分の2失点目は勿体なかった。

ここでは湘南ウイングバック畑からルキアンへのパスを神戸陣営に奪われ、アウェイチームの速攻を浴びている。エリキへのラストパスを繰り出した宮代に対する、湘南MF奥野の帰陣や寄せも遅れたため、失点を喫してしまった。

センターサークル付近でボールを失った際の守備の整備や、素早い攻守の切り替えの徹底。今後はこの2点を改善する必要があるだろう。


畑大雅 写真:Getty Images

気になるウイングバックの立ち位置

前半の途中から、湘南の両ウイングバックが自陣後方タッチライン際でボールを受ける場面がちらほら。ウイングバックがこの場所でボールを受けた場合、タッチラインがある方向にはパスを出せない。そのうえ湘南ウイングバックに相手のサイドハーフやウイングバックが寄せてくるので、ボールを失う確率が上がる。この悪癖により湘南は2023シーズンと昨シーズン序盤に成績不振に陥っており、この現象が今回の神戸戦で散見されたのは気がかりだ。

攻撃時にウイングバックをここへ降ろしたいのであれば、相手チームが3バックの場合にこれをするのが望ましい。サイドハーフやウイングFWがいる4バックのチームと比べ、相手が3バックであれば湘南ウイングバックに相手ウイングバックが寄せるまでに時間がかかるため、自陣後方タッチライン際でボールを受ける危険性がやや低くなるだろう。

もしくは、ウイングバックが自陣後方タッチライン際でボールを受けた場合、間髪を入れず味方2トップへ縦パスを送ることをパターン化する戦い方もある。2トップがボールを失わないことが前提となるが、彼らを湘南の2インサイドハーフが素早くサポートすることを徹底させれば、パスワークは成立する。難易度が高い攻撃だが、シモーネ・インザーギ監督擁するインテルもこの戦い方を採り入れている。試す価値はあるかもしれない。

ただ、俊足で突破力が高い藤井と畑を自陣後方に立たせパスを回す攻撃は、彼らの持ち味を活かしたものとは言い難い。神戸戦に生まれた湘南のゴールも、もとを辿ればセンターバック鈴木雄斗が自陣へ降りてきた藤井にボールを渡さず、最前線の鈴木章斗へロングパスを送ったことから生まれている。湘南を率いる山口智監督が、現状をどのように捉え自軍の攻撃を設計するのか。これが湘南の今後の戦況を左右しそうだ。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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