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ファウル基準で揺れ動くJリーグ。外国人レフェリーに託された重要なタスク

金子拓郎 写真:Getty Images

フェルボーメン氏のレフェリング

国際審判員としても活躍しているフェルボーメン氏は、2024/25シーズンUEFAカンファレンスリーグ予選も担当し、ベルギーリーグでは150試合以上で主審を務めている経験豊富なレフェリーだ。

来日初仕事となった2月26日の町田ゼルビア対東京ヴェルディの「東京クラシック」(町田GIONスタジアム/0-1)は、フィジカルコンタクトの多い一戦で両軍合わせて5枚の警告が出されたが、選手がエキサイトするようなシーンは見られず、上手くコントロールしていた。

冒頭に挙げた浦和対柏の一戦では、昨2024シーズンKVコルトレイクで半年間プレーしていた浦和MF金子拓郎のことを覚えていたようで、金子もフェルボーメン氏から警告を受けたことを思い出し、試合前には談笑する姿が見られた。

後半から途中出場した金子は「ストレスが全くなくやれたので、素晴らしいレフェリーだなと思いました」とフェルボーメン氏の印象を試合後に語っている。

前半33分、柏MF原川力が浦和DFからホールディングされたシーンがあったが、フェルボーメン氏はあえてファウルを取らなかった。プレーを流された原川は試合後に説明を求めたところ、フェルボーメン氏から「君は強いから大丈夫だ」と言われたという。

しかしながらフェルボーメン氏はファウルを取るべき場面では取った上で、警告1枚というクリーンな試合を演出した。“判定基準が曖昧”であることと“臨機応変さ”は紙一重だが、フェルボーメン氏は上手くそれを使い分け、プレーする選手を納得させた点では、やはり日本人レフェリーのレベルを上回っていると認めざるを得ないだろう。

フェルボーメン氏以外では、エリオット・ベル氏が主審を務めた3月1日のJ2第3節ベガルタ仙台対大分トリニータ(キューアンドエースタジアムみやぎ/2-0)では両軍合わせて警告3枚。またハリソン・ブレア氏が裁いた3月1日のJ3第3節栃木シティ対アスルクラロ沼津(CITY FOOTBALL STATION/0-0)では、警告2枚で試合をコントロールできていた。

もちろん日本人レフェリーも突然のファウル基準の変更に付いていこうと、欧州サッカーをチェックしアップデートを試みているだろうが、世界を知る外国人レフェリーが生きた見本となることは言うまでもないだろう。現在来日中の4氏と、後に続く11人の外国人レフェリーの判定が日本人レフェリーと今後のファウル基準に大きく影響してくるのではないだろうか。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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