その他 Jリーグ

Jリーグ情報番組7選。何が面白い?短命に終わりそうなものは?

写真:Getty Images

2022年、第6代のJリーグチェアマンに野々村芳和氏が就任以来、「Jリーグをもっと多くの人の目に触れられる環境を整えたい」という考えの下、数々のJリーグ情報番組が放送されている。

2020年に『やべっちFC~日本サッカー応援宣言~』(テレビ朝日系)が、2021年に『スーパーサッカー』が放送終了となり、危機感を募らせたのがきっかけと言われているが、その結果、Jリーグ、スポーツ振興くじ(toto)、Jリーグメインスポンサーの明治安田などがバックアップする形でJリーグ情報番組が増え、ファン層の拡大に繋がっている。

スポーツ専門の動画配信サービス『DAZN』に加入していないライトファンも、試合のダイジェスト映像などを目にできる機会が増えた。欧州サッカーファンにとっても、全てを網羅するには『DAZN』に加え『U-NEXT』や『WOWOW』、『スカパー!』に加入する必要があり、その全てに加入したとすれば月2万円ほどになってしまうことで、ダイジェスト番組は貴重な存在だ。

ここでは、そうしたサッカー情報番組を挙げ、番組の色から解説の質、さらには長寿番組になりえるか否かを検証したい。※ペイチャンネルやサブスクで配信されている『やべっちスタジアム』(DAZN)、『チャンピオンズリーグダイジェスト!』(WOWOW)、見逃し無料配信動画サービスTVer限定配信の『MONDAY FOOTBALL』は除外する。


小野伸二氏 写真:Getty Images

『MONDAY FOOTBALL みんなのJ』(フジテレビ系)

2024年4月からJリーグ情報番組として放送されている『MONDAY FOOTBALL みんなのJ』。J1のみならず、J2、J3までを扱う。元日本代表MFの小野伸二氏をメイン解説者に迎え、彼の豊富な経験を通じ好プレーをピックアップ。Jリーグの楽しさを伝えるスタイルが好評を博している。

一方、番組そのものは小野氏が好プレーをセレクションするなど、正統派ダイジェスト番組の枠に収まりすぎてエンタメ色が不足している感もあり、他との差別化といった面で一歩、後れを取っている感は否めない。

同番組の源流は、元日本代表FW三浦知良(現アトレチコ鈴鹿クラブ)が1994年、セリエAジェノアに移籍したことで始まった『セリエAダイジェスト』だ。その際の実況を担当したジョン・カビラ氏がナレーションを担当しているとあって、当時を知るサッカーファンにとっては懐かしい気持ちにさせられる(ちなみにTVer限定配信の『MONDAY FOOTBALL』では、当時のメインMCであった青嶋達也アナウンサーが司会を務めている)。

『セリエAダイジェスト』はその後、ヨーロッパサッカー全般を扱う『FOOTBALL CX』『FOOTBALL DX』『MONDAY FOOTBALL R』と名前を変えながら存続していたが、2016年ついに、スポーツ総合番組『すぽると!』に吸収される形で終了した経緯がある。

『MONDAY FOOTBALL みんなのJ』は、ライトファンも含めたJリーグファンにとっては一定の支持を得られていると思われるが、良くも悪くも小野氏の主観を押し出した番組とあって、評判が上がるかどうかは今後の内容次第だろう。


りんたろー氏 写真:Getty Images

『ラブ!!Jリーグ』(テレビ朝日系)

お笑いコンビ霜降り明星のせいや氏と、EXITのりんたろー氏をメインMCに据え、「初心者でも楽しめるサッカー番組」をコンセプトに、クラブや選手のみならずサポーターやスタジアムグルメなども積極的に取り上げる『ラブ!!Jリーグ』。

関東地区では金曜深夜(土曜1:15)からの15分番組で、ネット局でも深夜に放送されていることから、オンタイムよりは、もっぱら録画あるいはTVerでの見逃し視聴で見られている番組だろう。

2021年に、メインMCに元日本代表DF内田篤人氏を迎え放送が開始された『チャント!!Jリーグ』(関東ローカル)を源流とし、2022年に『ラブ!!Jリーグ』と装いを変えた上で放送されている。

MCのせいや氏は少年時代の9年間ものサッカー経験者で、番組内での現役Jリーガーとのリフティング対決で勝利している。りんたろー氏もHonda FCジュニアユース、静岡北高校、浜松大学と14年間にわたりGKとしてプレーし、プロを目指した過去がある。かと言って、2人は中途半端な技術論に走らず芸人に徹し、バラエティーに振り切っている点では好感が持てる。

土曜昼、日曜深夜と放送時間を変えながらも続いているということは、それに見合ったニーズがあるということの証明でもある。“ガチ”のサッカーファンには受け入れられていないかも知れないが、新規ファン獲得には貢献していると言えるのではないだろうか。


ハリー杉山氏 写真:Getty Images

『WEEKLYワールドサッカー Supported by U-NEXT』(BS11)

唯一Jリーグではないが、『WEEKLYワールドサッカー Supported by U-NEXT』はU-NEXTの広報番組としての位置付けで、イングランドのプレミアリーグとスペインのラ・リーガのダイジェスト番組だ。

ハリー杉山氏をメインMCに迎え、ハイテンポで試合の模様を映し出し、そこに元日本女子代表FW岩渕真奈氏とゲスト解説者がコメントするというスタイル。U-NEXT未加入者や、フルマッチを全てカバーし切れない忙しいファンにとっては非常に有り難い番組だ。逆にダイジェストが充実し過ぎて、U-NEXTのプロモーションに繋がっているのか心配になるほどの内容の濃さを誇っている。

しかしながら、来2025/26シーズンも同番組が続く保証はどこにもない。この番組がU-NEXT加入者増に繋がっていないと判断されれば、今シーズン限りでの放送終了の可能性も高い。楽しんでおくのも今のうちとも考えられよう。

Previous
ページ 1 / 2

名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

筆者記事一覧