Jリーグ 福島ユナイテッドFC

大躍進のJ3福島ユナイテッド。主力を失った2025シーズンはどうなるか

福島ユナイテッド サポーター 写真:Getty Images

胸スポンサーにスポーツX株式会社

また今季、福島にとって大きな動きがあった。実に11年ぶりにユニフォームの胸スポンサーが変更となったのだ。

福島県の第一地銀・東邦銀行が10年の長きにわたりホームスタジアムのネーミングライツも取得していたが、京都に本社を置き関西サッカーリーグ1部「おこしやす京都FC」や、東北リーグ1部「みちのく仙台FC」のオーナー企業でもあるスポーツX株式会社が、2024年同社の代表である小山淳氏が代表取締役CEO(最高経営責任者)に就任し経営に参画した上で、満を持して胸スポンサーに就いた。

スポーツX株式会社は2009年に創設。「スポーツ×ネット×教育」を軸に、プロスポーツクラブ運営、スポーツ企業への投資・支援を行い、「スポーツを通じて世界中の人々、地域をつなげ、全世界に笑顔の花が咲き誇る幸せな未来をつくる」ことを理念とする異色の企業だ。社員はJリーガーも含む元アスリートが多く、指導者の育成やクラブの経営支援を手掛けるコンサルティング業務と並行し、スクール事業も行っている。

「スポーツクラブは地域に根ざしたインフラ」という哲学の下、その事業は海を越え、ミャンマーのプロリーグ「ミャンマー・ナショナルリーグ(MNL)」と、ミャンマーでの選手育成とミャンマー代表の強化を目指す合弁会社「ミャンマージャパンフットボールディベロップメント」を設立。日本のスポーツビジネスに新風を巻き起こしている。

そんな小山氏の著書は『弱くても稼げます シン・サッカークラブ経営論』(光文社/入山章栄氏、松田修一氏、阿久津聡氏との共著)。まさに福島を取り巻く状況にピッタリのタイトルだ。

昨季は上位争いを演じたお陰で平均約1,800人の観客を動員したが、それ以前は入場者数が1,000人にも届かず、平日ナイターともなれば555人という有り様だった福島。同社が持つノウハウが集客に結びつけられるかも見ものだ。


吉丸絢梓 写真:Getty Images

開幕からリーグを引っ張る存在に?

雪国クラブの宿命だが、福島は2月16日の開幕戦(奈良クラブ戦)から3月1日の第3節(FC琉球戦)まではアウェイ戦を強いられ、本拠地とうほう・みんなのスタジアムでの初戦は、3月8日のFC岐阜戦まで待つことになる。

夏場と終盤に調子を上げプレーオフ切符をつかんだ昨季だったが、寺田監督の戦術が浸透した今季は、開幕からリーグを引っ張る存在となることが期待できる。

副将のGK吉丸絢梓は、2月7日の内堀雅雄福島県知事への表敬訪問の際「目標はJ3優勝とJ2昇格」とハッキリと口にし、それに応える形で内堀知事も「多くの観客に来てもらう取り組みをしていきたい」と語った。

昨季の快進撃によって地元にも認知され始め、クラブと官民が一体となりつつある福島。魅力的なサッカーに結果が付いてくるようなら、昨季以上のムーブメントを起こすことは可能だろう。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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