
請求しないケースはあまりにももったいない
連帯貢献金制度は欧州や南米では定着し、選手を育てるモチベーションとなっている。学校の部活動が育成組織も兼ねている日本の事情には合わないところもあるが、育成に使える資金をゆめゆめ逃がしている現状は、あまりにももったいないと感じる。
街クラブではコーチがボランティアであることなどザラで、部活動に関しても教師の“ブラック残業”や保護者の手弁当によって支えられている側面がある。仮に連帯貢献金を受け取る権利が発生すれば、伊東の母校の逗葉高校のように堂々と申請し、クラブや学校に還元すればいいのだ。日本サッカー協会(JFA)も育成を重視するならば、この手続きを手引きする施策が必要だろう。
中京大中京高校から直接渡英し、アーセナルでプロキャリアをスタートさせた元日本代表FW宮市亮(横浜F・マリノス)の場合、12~15歳まで所属した名古屋市の街クラブであるシェフィールドFCジュニアユースに508万円、中京大中京高校に3,429万円の連帯貢献金が発生した。しかし実際は、中京大中京高校はこれを請求しなかったという。
選手が高校や大学から直接、欧州クラブと契約するケースが増えてきた今、貰えるものは貰い、次世代育成のための資金とするという好サイクルが生じてくることを期待したいところだ。

日本国内の育成クラブに支払われる制度も
日本国内にも、育成クラブに支払われるJFAが規定したローカルルールが存在する。「トレーニング費用制度」と称した制度で、ある選手がJ1クラブ入りした際、大学に120万円、高校(ユース)に90万円、中学校(ジュニアユース)に30万円、小学校に10万円の支払い義務が生じる。
このように育成クラブは、プロ選手を輩出することで収入を得ることができ、そのお金をさらに投資に回すことができる。最近では有力大学から一気に何人もがJクラブ入りするケースも目立つ。大学もその分の連帯貢献金が入り、さらなる育成のレベルアップに使うという好循環が出来つつある。
高校においても、熊本県立大津高校や市立船橋高校など、強豪の公立校も存在する。「公立高校がプロサッカー選手を育てて金儲け」などと懐疑の声もあるだろうが、気にする必要などない。育成に掛けた有形無形のリソースに対する見返りをしっかりと受け取り、次なるプロ選手を育てるサイクルを一般化させるべきである。この国が育成大国となれば、JFAが目標とする「2050年までにW杯優勝」にも一歩近付くことができるのではないだろうか。
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