
近年のサッカーシーンで、目を背けられないのは2034年のFIFAワールドカップ(W杯)の開催地であるサウジアラビアだ。同国のサウジ・プロフェッショナルリーグ(SPL)は、豊富な資金力を武器に移籍市場の様相を一変させてきた。
2022年末にポルトガル代表のFWクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)がSPLに移籍して以降、元フランス代表のFWカリム・ベンゼマ(アル・イテハド)、MFエンゴロ・カンテ(アル・イテハド)、FWムサ・ディアビ(アル・イテハド)、そしてブラジル代表のエースFWネイマール(アル・ヒラル)など、多くの欧州を拠点としていた一流選手たちがサウジアラビアのクラブに加入している。
しかし、一般市民からは想像をはるかに超えるような高額契約を提示されたすべての選手がこの国への移籍を選んだわけではない。キャリアの選択肢としての価値や競技環境への疑問、家族の意見を優先する価値観などが、金銭面での圧倒的な魅力を越えて選手の移籍決断を左右している。
ここではその金銭的な魅力を誇るSPLへの移籍を断り、自らのサッカーへの熱い情熱を示す道を選んだ8人の選手を紹介しよう。

マーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)
プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドで、1月の移籍市場の放出候補になったと報じられ続けているFWマーカス・ラッシュフォード。同選手はSPLのクラブからの3度のアプローチを断ったと伝えられている。
27歳とまだ全盛期であるラッシュフォードはイングランド代表への復帰を目指し、プレミアリーグや欧州トップクラブへの移籍を希望しており、その移籍先にはスペインの名門バルセロナなどが挙がっている。まだまだ、欧州トップクラブでの活躍が期待できる実力と若さを兼ね備えているだけにSPLへの移籍は考えられないだろう。

ウスマン・デンベレ(パリ・サンジェルマン)
アル・ナスルは2023年にMFセコ・フォファナ(アル・イテファク)やMFマルセロ・ブロゾビッチといった選手を獲得した後、パリ・サンジェルマン(PSG)所属のFWウスマン・デンベレにも目を向けていた。当時バルセロナで契約が残り1年となっていたデンベレは、サウジアラビア移籍が現実味を帯びていた。
しかしデンベレは、アル・ナスルから提示された5年契約(年俸約68億3,946万円、週給にして約1億3,197万円)を断ったという。欧州に留まる道を選んだデンベレは現在、PSGで輝きを放つプレーを見せ続けており、選手としての価値をさらに上げたのかもしれない。

ジェイミー・バーディ(レスター・シティ)
2023年にレスター・シティがプレミアリーグから降格した際、複数のサウジアラビアのクラブが元イングランド代表のFWジェイミー・バーディに関心を示した。しかし、バーディはこれを即座に拒否し、レスターのサポーターに安堵をもたらした。
現在38歳となったベテランストライカーであるバーディは、家族のことも考え、湾岸地域への移籍を検討外としたようだ。代わりにレスターをわずか1シーズンでプレミアリーグに復帰させる活躍を見せ、現在も年齢を感じさせない精力的なプレーで若手への見本となり、レスターのレジェンドとして無くてはならない存在となっている。

リオネル・メッシ(インテル・マイアミ)
アルゼンチン代表のキャプテンFWリオネル・メッシは、メジャーリーグサッカー(MLS)のインテル・マイアミを選んだが、一時はサウジアラビア移籍の可能性が非常に高いと見られていた。アル・ヒラルは、バロンドールを7回受賞しているメッシに約1,899億円という驚異的な契約を提示していた。もし実現していれば、この金額はC・ロナウドの年棒をはるかに超える金額となっていた。
しかし、メッシはアメリカへの移籍を決断。2021年から2023年まで在籍していたPSGのホームタウンであるフランスの首都パリでの日常生活に嫌気が差していたメッシは、家族との生活をより楽しむ充実した日常生活を求め、サウジアラビアではなくアメリカの地を選択したという。
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